コラム
ペットと暮らす高齢者の相続対策 〜世田谷区で“人と動物”の両方を守るために〜
- 2025.07.16
- カテゴリ:
不動産相続コラム
世田谷区には多くの高齢者が住んでおり、犬や猫などのペットとともに穏やかな生活を送っている方も少なくありません。
しかし、高齢者の相続対策において、意外と見落とされがちなのが「ペットの今後」です。
「もし自分が先に亡くなったら、この子はどうなるのか……」
そうした不安を抱える飼い主の方も増えており、近年では“ペットのための相続対策”も注目されています。
今回は、世田谷区にお住まいの高齢者とペットの未来を守るために必要な相続対策を、5つの視点で解説します。
【第1部】なぜペットの相続対策が必要なのか?
■ ペットは「物」として扱われる法律上の立場
・日本の法律では、ペットは“物”として扱われるため、相続財産の対象ではあるが、相続人とはならない。
・相続財産として誰に引き取ってもらうかを明確にしないと、行き場を失ってしまうリスクがある。
■ 世田谷区でも問題化する「ペットの孤独死」
・飼い主が急死し、誰にも引き取られず、保健所に送られる事例も。
・世田谷区動物愛護相談センターによれば、こうした事例は年々増加傾向にある。
【第2部】ペットのためにできる3つの法的手段
1. 遺言書に「ペットの引き取り先」を記載する
・「○○に飼育を託す」と明記しておくことで、意思を反映できる。
・必要に応じてその人に財産を渡す旨も書いておく(飼育資金として)。
2. 負担付遺贈
・「ペットの世話を条件に財産を渡す」方法。
・条件を明確にし、公正証書遺言として残すのが安心。
3. ペット信託(家族信託)
・飼い主が生前に財産の一部を信託し、管理者にペットの飼育を委ねる。
・世田谷区内にも家族信託に詳しい司法書士が存在。
【第3部】ペットを託す人の選び方と準備
■ 誰に託すか?家族以外でもOK
・子どもや親族に限らず、信頼できる友人やペット仲間でも可。
・世田谷区内の高齢者施設やペット愛護団体と連携するケースも。
■ 具体的な飼育条件を記載
・餌の種類、散歩の頻度、病院の通院歴などをメモにまとめておく。
・世田谷区の動物病院で発行される診療履歴なども活用。
■ 本人と託す人で“飼育契約”を作成
・金銭の取り決めを含め、簡易的な契約書を交わすとトラブル予防に。
【第4部】世田谷区で活用できる支援制度・団体
■ 世田谷区動物愛護相談センター
・高齢者とペットの暮らしを支援する取り組みを実施。
・一時預かりや譲渡支援も行っている。
■ 民間団体による「老犬・老猫ホーム」
・高齢者が入院や亡くなった後も、安心して預けられる施設が都内や神奈川に点在。
■ ペット信託に強い専門家(司法書士・行政書士)
・世田谷区内の相続相談窓口や、シニア向けの無料相談会などでも紹介可能。
【第5部】相続とペットに関するチェックリスト(保存版)
✅ 遺言書にペットの飼育について明記しているか?
→「誰に託すか」「資金はどうするか」などを記載。公正証書遺言が安心。
✅ ペットを託したい相手と事前に合意がとれているか?
→ 一方的に決めるのではなく、引き受けの意思確認が必要。
✅ 飼育にかかる費用や資金を確保しているか?
→ 餌代・医療費などを想定し、遺贈や信託で準備しているか。
✅ 飼育契約やペット信託など、法的な備えをしているか?
→ トラブル防止のために簡単な契約書や家族信託を利用。
✅ ペットの健康状態や好みを記録したメモがあるか?
→ 食事・病歴・習慣などをメモし、託す相手に渡せるようにしておく。
✅ 世田谷区や地域団体の相談先を把握しているか?
→ 動物愛護相談センター、譲渡団体、地域包括支援センターなど。
“人と動物”両方を守る相続対策を
相続対策というと、不動産や預金といった「モノ」の管理に目が向きがちですが、
世田谷区のようにペットと暮らす高齢者が多い地域では、「命のバトン」をどうつなぐかも重要なテーマです。
“この子のことを最後まで考えられるのは自分だけ”——
そうした想いを、相続対策としてきちんと形にしておくことが、真の安心につながります。
ペットも、家族の一員。
残される命の行く先を見据え、早めの備えを始めてみてはいかがでしょうか。