コラム
不動産が地方にある場合の相続対策 〜世田谷区に住みながらできる、遠方不動産の賢い守り方〜
- 2025.07.11
- カテゴリ:
不動産相続コラム
世田谷区にお住まいの方の中には、親の実家や土地が遠方にあるというケースが増えています。とくに60代・70代の世代では、両親の故郷が地方にあり、すでに空き家となった実家をどう相続するか悩んでいるご相談が多く寄せられます。
地価が高く税負担の大きい世田谷区とは異なり、地方の不動産は「売れない」「貸せない」「管理が大変」といった三重苦に直面しやすいのが実情です。この記事では、地方にある不動産の相続をスムーズに進めるための対策を、世田谷区在住の視点から5部構成で解説します。
【第1部】地方不動産の相続にありがちな問題とは
■ 問題① 管理が難しい
世田谷区から遠く離れた地方では、定期的な見回りができず荒れ放題に
空き家の倒壊や不審火のリスクも
■ 問題② 売却や賃貸が難航
人口減少エリアでは買い手・借り手がつかない
固定資産税だけがかかり続ける
■ 問題③ 相続人同士の温度差
世田谷区に住む子どもは「処分したい」
地方に住む親族は「残したい」と主張
【第2部】相続前にやっておくべき3つの準備
① 現地調査と法務確認
所在地の確認、登記情報(名義・権利)を取得
現地の固定資産税評価額・路線価を確認
② 売却・賃貸の可能性を探る
地元不動産業者へ相談し、利用価値を調査
空き家バンクや自治体の補助金制度を活用
③ 相続人間の事前協議
「将来の扱いはどうするか」を生前に話し合う
世田谷区在住者が主体となって整理を進める例が多い
【第3部】相続後にとるべき具体策
■ 1. 管理の外注・委託
地元の管理会社や空き家見守りサービスを活用
月1回の巡回や除草・ポスト確認などを任せられる
■ 2. 処分に向けた動き
解体して更地で売却
不動産業者に買取相談
借地権付きでも価格がつく場合あり
■ 3. 維持を前提とするなら
固定資産税や修繕費の予算化
二地域居住・セカンドハウスとして活用の可能性
【第4部】世田谷区在住者が知っておくべき注意点
■ 相続登記義務化への対応
登記を放置すると10万円以下の過料対象に(2024年4月施行)
名義変更は司法書士へ依頼を
■ 税金・特例の違い
小規模宅地等の特例が使えるかどうか確認(被相続人の居住状況)
相続税申告の際、遠方不動産も評価対象になる
■ 世田谷区の支援を活用
世田谷区の無料法律相談や相続支援窓口を活用
東京司法書士会・税理士会などの地域士業との連携も強化中
【第5部】チェックリスト:地方不動産の相続対策
✅ 所在地・登記情報を確認済みか?
→ 名義、地番、持分、地目などの法務局情報を把握している
✅ 固定資産税評価額・路線価を確認したか?
→ 相続税評価額の把握と納税計画のために必須
✅ 現地に訪問し、建物・土地の状態を確認したか?
→ 荒廃や不法投棄などの管理リスクを実際に目視したか
✅ 空き家バンク・地元業者に相談済みか?
→ 売却・賃貸・譲渡の選択肢を事前に検討しているか
✅ 管理委託・見守りサービスの利用を検討したか?
→ 世田谷区から通えない距離の場合、月額契約などを視野に
✅ 相続人全員と事前に協議したか?
→ 「使う」「売る」「放棄する」などの方向性を共有済みか
✅ 相続登記の期限を把握しているか?
→ 2024年施行の義務化に伴い、正確な期限・手続きを確認済みか
✅ 世田谷区の法律相談・専門家に相談済みか?
→ 自治体や士業のサポートを活用し、法的な確認を行ったか
“遠くの実家”を悩みのタネにしないために
地方の不動産は、「感情的に残したい」と思っていても、維持や処分に手間もコストもかかるのが現実です。世田谷区のような都市部から遠く離れた土地でも、相続放棄や管理委託・売却などの手段を早めに検討しておくことで、のちのちの負担を大きく減らすことができます。
親が元気なうちに情報を整理し、相続人同士で認識を合わせておくことが、争いを防ぎ、資産を守る第一歩です。
世田谷区在住の方こそ、早めに「地方不動産の相続」に目を向けておきましょう。