お電話でのお問い合わせ

フリーダイヤル0120-985-827
9:00〜18:00 土日祝日もOK
コラム

コラム

配偶者に全て相続させるのは本当に得? 〜世田谷区で考える“安心と損得”の相続設計〜

  • 2025.07.04
  • カテゴリ: 不動産相続コラム

世田谷区で不動産や預貯金を所有するご夫婦から、「すべて配偶者に相続させたい」「子どもがまだ若いから、当面は妻(夫)に任せたい」という相談をよく受けます。

確かに、配偶者にすべてを相続させることは、安心感や生活の安定という面で非常に有効です。しかしその一方で、「将来の二次相続(配偶者が亡くなったとき)」に大きな税負担が発生したり、「遺産分割トラブルの火種」になるケースも少なくありません。

この記事では、世田谷区における資産背景や不動産事情を踏まえ、「配偶者にすべて相続させることのメリット・デメリット」を5部構成で整理し、最適な相続設計を考えるヒントを提供します。

【第1部】配偶者に全て相続させるメリットとは?

■ 配偶者控除が使える(最大1億6,000万円)

相続税法上、配偶者には「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」という制度があり、法定相続分または1億6,000万円までの財産には相続税がかかりません。

■ 手続きがシンプルになりやすい

他の相続人が「とりあえず全部配偶者へ」と同意すれば、遺産分割協議も比較的スムーズ。

■ 生活の安定につながる

住まいや生活資金、医療費などを配偶者が自由に使えることで、老後の不安が軽減される。

世田谷区のように不動産価値が高い地域では、特に住まいの確保と安定的な現金収入の確保が重要視されます。

【第2部】“全部配偶者に相続”の落とし穴とは?

■ 二次相続で税負担が倍増することも

最初の相続で配偶者控除をフル活用して非課税でも、その後、配偶者が亡くなったときには「配偶者+子」から「子のみ」に変わり、控除が減少。

例:1億2,000万円を配偶者に全て相続 → 相続税0円。

10年後に配偶者が死亡 → その1億2,000万円全額が課税対象になり、結果として多額の相続税が発生。

■ 子世代の不満やトラブル

「全部親に渡したら、いざ分けるときに揉めた」「遺言もなく、兄弟でもめた」という声も。世田谷区の相続相談窓口にも多く寄せられる実情です。

■ 資産凍結のリスク

高齢で判断能力が低下した場合、売却・贈与などが難しくなり、結果的に何も動かせない事態になることも。

【第3部】世田谷区で多い“二次相続トラブル”の実例

■ ケース1:全て配偶者に遺したが…

田園調布の戸建て住宅を相続。夫が亡くなり、全て妻に相続。
その後、妻が認知症を発症。売却や資産の組み替えもできず、子どもたちが困窮。

■ ケース2:二次相続で課税強化

世田谷区のマンション(8,000万円相当)を含む遺産。
一次相続では配偶者控除で0円だったが、二次相続で相続税1,500万円以上が発生。

■ ケース3:遺言なしで兄弟争いに

配偶者にすべて渡した後、配偶者が亡くなった際に遺言がなかったため、兄弟間で分け方がもめ、分割調停にまで発展。

【第4部】バランスよく分ける設計とは?

■ 一部を子へ生前贈与

110万円の暦年贈与、相続時精算課税制度などの活用も一案。

■ 遺言書の活用

公正証書遺言で「配偶者に●●、子に●●」と明示すれば、相続人の合意形成がしやすくなる。

■ 家族信託の導入

高齢の配偶者が判断力を失う前に、家族信託で“使い道のコントロール”を設計。

■ 不動産は分割しづらい=早期決断を

世田谷区の不動産は高額だが、共有名義にすると将来の売却・処分が非常に困難。
“誰に何を”明確にすることが重要です。

【第5部】チェックリスト:配偶者相続で失敗しないための10の確認事項

・配偶者控除の上限(1億6,000万円 or 法定相続分)を正しく把握しているか
→ 誤解しがちな制度、誤算を防ぐために税理士確認が◎

・二次相続時(配偶者死亡時)の相続税のシミュレーションをしているか
→ 節税対策の全体設計が必要

・子ども世代と相続に関する意思共有・面談をしているか
→ 後日のトラブル防止

・公正証書遺言を用意しているか
→ 遺言がないと配偶者死亡時に紛争の火種に

・高齢配偶者の判断能力低下リスクに備えた「家族信託」等を検討したか
→ 財産凍結回避のために有効

・世田谷区内の不動産の評価額を正しく把握しているか
→ 地価上昇の影響大/課税評価に直結

・不動産が共有にならないよう分け方を検討したか
→ 将来の処分時トラブル防止

・相続登記の義務化(3年以内)とそのスケジュールを把握しているか
→ 令和6年4月以降の制度改正対応

・信頼できる税理士・司法書士・専門家に一度でも相談したことがあるか
→ 相続は「相談先の質」が将来の負担を左右

・配偶者・子・自分の今後の生活設計(医療・介護・納税資金)を含めた財産設計をしているか
→ 長期視点の資金配分が重要
“全部妻に”が正解とは限らない
配偶者にすべて相続させることは、一見安心で手軽に見えます。
しかし、税務・分割・老後のリスクを総合的に考えると、必ずしも“得”とは限りません。

世田谷区のように資産価値が高い地域では、少しの相続設計の差が税額や家族関係に大きく影響します。

今の安心と、将来の公平・節税を両立させるために、遺言・贈与・信託などの制度を上手に組み合わせて、
“バランスある相続”を実現していきましょう。

迷ったときは、世田谷区内の経験豊富な専門家への相談が、何よりの第一歩です。
PAGE TOP