コラム
不動産が複数あるときの相続の分け方 〜世田谷区で“揉めない相続”を実現するために〜
- 2025.06.16
- カテゴリ:
不動産相続コラム
物件が多い=選択肢が多い」とは限らない
親が世田谷区で複数の不動産を所有していた場合、「これで相続も安心」と思うかもしれません。
しかし実際は、不動産が複数あるほど相続の調整は複雑化します。現金と違い、同じ価値に分けることが難しい上、立地や築年数によっても資産価値に大きな差があるためです。
この記事では、世田谷区で複数の不動産を相続する際の分け方と注意点を5部構成で解説します。
【第1部】不動産が複数ある場合の相続トラブル事例
■ 典型的なケース(世田谷区内)
・成城の住宅、三軒茶屋の賃貸アパート、下北沢の古家付土地などを複数所有
・「兄が住んでいたから住宅は兄に」「残りの物件を姉弟で分けよう」と提案
・賃貸物件の収益性が高く、不公平感から話し合いが決裂
■ 問題点
・資産価値と感情のズレ
・維持費や管理責任の偏り
・「評価額=公平」ではない点
【第2部】世田谷区での不動産評価の考え方
■ 評価の基本軸
・路線価・固定資産税評価額・実勢価格の3軸で見る
・世田谷区は場所により地価差が大きく、同じ広さでも評価額に2〜3倍の差
■ 賃貸物件と自宅の違い
・賃貸中の物件は収益還元法による評価が必要
・自宅は「住み続ける意思」が評価に影響を与えることも
■ 注意点
・評価だけで分けようとすると納得感が得られにくい
・感情や生活背景も配慮する必要あり
【第3部】分け方の具体例と方法
■ 方法1:現物分割
・各相続人に物件を1つずつ分ける
・条件:物件の評価が近く、感情的な納得が得られる場合
■ 方法2:代償分割
・一人が高額物件を相続し、他の相続人に現金を支払う
・例:兄が成城の自宅を相続し、妹に現金1000万円を渡す
■ 方法3:換価分割
・すべて売却し、現金で等分する
・例:賃貸物件を売却して分けることで収益性の不公平を解消
■ 方法4:共有相続(推奨されない)
・複数人で1つの物件を共有名義で相続
・将来の管理・処分で意見が分かれやすく、トラブルの温床
【第4部】公平感を保つための“話し合い”のコツ
■ 感情の整理が先
・「親の介護をした」「学費を出してもらった」など、相続以外の感情が絡む
・まず“思い出”や“想い”を共有し、感謝の場を設けることが有効
■ 評価だけに頼らない
・同じ1億円の物件でも、住みやすさ・築年数・管理のしやすさが異なる
・評価額は目安、納得感は別問題
■ 専門家を交える
・税理士による相続税シミュレーション
・司法書士・不動産鑑定士の意見を参考にする
・世田谷区内の無料相談窓口(区役所、まちづくりセンター)を活用
【第5部】相続準備チェックリスト〜複数物件がある方へ〜
所有している全物件の登記事項証明を取得しているか?
→ 所有者・地番・権利関係を確認
各不動産の固定資産税評価額・路線価を把握しているか?
→ 世田谷区役所・都税事務所で取得可
各物件の現況(自宅・賃貸中・空家・古家付土地など)を整理しているか?
→ 相続後の活用判断のために必要
修繕履歴・管理費・固定資産税などの維持コストを一覧化しているか?
→ ランニングコストに差があることに注意
賃貸物件については収支状況や契約内容を把握しているか?
→ 家賃・敷金・管理会社の情報など
相続人それぞれの希望(住みたい・売りたいなど)をヒアリングしているか?
→ 感情面の衝突を避けるための第一歩
換価分割や代償分割の可能性について検討しているか?
→ 現金化して分ける選択肢も用意する
遺言書や家族信託の活用を検討しているか?
→ あらかじめ意思表示しておくとスムーズ
税理士・司法書士・不動産鑑定士に相談しているか?
→ 評価・税金・登記・処分の専門家と連携
“財産が多い”ことが“揉める原因”にならないために
世田谷区のように地価が高く、複数の不動産を所有する家庭では、「どう分けるか」が家族関係を左右します。
形式的な公平性よりも、“納得感”と“感情面の配慮”が大切です。
そのためには、元気なうちからの準備と、第三者(専門家)の助けを借りることが効果的です。
相続は「残された家族の関係性を守るための手続き」です。ぜひ本記事を参考に、家族会議の第一歩を踏み出してみてください。