コラム
失敗しないための相続の考え方・進め方
- 2022.10.17
- カテゴリ:
不動産相続コラム
相続に対する考え方は、相続人のこれまで育ってきた環境、価値観、相続人の現状の置かれている立場や家族構成、資産の状況などによってそれぞれ異なります。
ですから相続人が100人いれば100通りの考え方があると言っても過言ではありません。そのような中で、実際に親に相続が発生したときには、いったいどうなってしまうのでしょう。
相続で一番トラブルになるのは遺産分割
相続でトラブルになるケースのほとんどは遺産分割です。私はこの遺産分割について、相田みつをさんのある詩の一文が最も本質を表していると思うので、ご紹介したいと思います。
「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」
今の日本の相続では「法定相続分」という相続人のための権利があります。もちろん、これは権利なので主張することはいいと思います。ただ、相続人間で協議をするときには、「法定相続分」を絶対とするのではなく、親の相続に至るまでの経緯の中で、「誰が亡くなった親の面倒を見たのか?」また「残された片親の面倒を今後誰が見ていくのか」「これから一家の財産を守っていかなくてはいかないのは誰なのか?」などを考慮した上での遺産分割を検討することもできます。
今までの経緯やこれから起こることを考慮せずに、誰か1人が自分の権利を主張しすぎると話がまとまらないこともよくありますし、お互いが思いやりの精神をもって話し合いにのぞめば、遺産分割でトラブルになることはあまりないでしょう。まさに「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」ですね。
節税対策よりも気持ちの整理が大事
生前の相続対策の相談では「何かいい相続税の節税方法はないか?」「うちは家族信託はやったほうがいいのか?」というようなご相談をいただくことがよくあります。こうした節税や信託などの相続対策の手法について興味を持ち、ご自身で調べたり、誰かに聞いたりすることはとても大切なことだと思いますが、そこに目がいきすぎて「なぜ、その対策をするのか?その対策は誰のためにするのか?」という根本的なことが頭の中から抜けてしまって方もたまにいらっしゃいます。
では、なぜ相続対策というと、このような手法のことから検討を始めてしまうのでしょうか。
それは世の中の多くの相続対策セミナーや銀行・建築会社などの行う相続対策の提案では、どうしても節税の部分や具体的な対策の方法について、焦点が当たってしまいがちだからです。(そこで何かしらの具体的な対策を受注することが、銀行や建築会社のビジネスの目的ですから、しょうがないとしか言いようがありませんが)
ところが、相続の本質的な問題は、節税テクニックや具体的な手法よりも、そこに関わる関係者の「気持ち」の部分にあることが多く、まずは気持ちの整理から入ることが重要です。
特に相続対策では、親と子でのコミュニケーション不足が大きな問題になることも多く、最終的には感情の部分でトラブルになってしまう話もよく耳にします。ところが、親子でしっかりと向き合って相続についての話をする時間は意外とありません。親が元気なときは、お互いに相続対策はまだまだ先の話と思っているからです。また親子間で相続対策の話ができる関係であっても、一般的には親子どちらも相続や不動産については素人であることがほとんどであり、何から話していいのかもわからないので、実際のところ、簡単に話は前には進みません。
失敗しないための相続のカギとは
こうした問題を解決するためには、公平な視点から提案をしてくれる第三者の相続の専門家(税理士、司法書士、ファイナンシャルプランナー、不動産コンサルタント、相続コンサルタントなど)を親子間の話し合いの中に介在させることも一つの方法かもしれません。これは生前の相続対策に限らず、相続発生後の手続きに関しても同様のことが言えると思います。
このように失敗しないための相続のカギは、まずは「家族間や親子間のコミュニケーションをしっかりとること」、そして「公平な視点で、関係者同士の意見調整をしてくれる相続につよい専門家の相談相手を見つけること」にあると言えるでしょう。
ポイント整理
・遺産分割は「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」の精神で!
・相続では「家族間や親子間のコミュニケーションをしっかりとること」がとても重要
・公平な視点からアドバイスができる「相続につよい専門家」を見つけることが相続成功のカギ