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【事例】親から相続した自宅を売却して納税

  • 2022.10.24
  • カテゴリ: 不動産相続コラム

 今回ご紹介する事例は親から相続した自宅を売却して相続税の納税を行った事例です。
 相続(遺産分割)の方法によっては、支払う税金の額が変わることもあり、最終的な手取り額が大きく減ってしまうこともありますので、注意が必要です。

家族構成

・お父様(今回、相続発生) ※お母様は既に他界
・A様(長女)
・A様の妹様(次女)

状況

・介護施設に入所していたため、お父様の自宅は約1年間、空家状態
・自宅には戻ることのないまま、お父様に相続が発生
・自宅の土地面積は約30坪。敷地内には平屋建てのお父様名義の自宅が建っている。
・売却をして現金にして、一部は相続税の納税に充当し、残りを兄妹2人で平等に分けたい
・どこの不動産会社に頼めばいいのかわからない

初回面談

 私がA様とその妹様とお会いしたのは、A様が相続手続きを依頼している司法書士事務所さんからのご紹介でした。A様も妹様もどちらも持ち家があり、お父様の自宅を今後利用する予定はなかったので、お父様の自宅は売却をすることは決めていました。
 
 ただ、お二人とも過去に不動産を売却した経験が一度もありません。
 
 自宅の中を片付けにいったときに、お父様の自宅のポストを見ると、「このエリア周辺に6000万円で土地30坪を購入したいお客様がいます」といった不動産会社のポスティングチラシが入っていたようで、私が最初にお会いしたときにはそのチラシも見せてくださいました。
 話を聞けば、「この土地が本当にそんなに高く売れるのか?何もわからないまま、全く知らない不動産会社に依頼するのはちょっと不安。」というお気持ちが強かったようなので、まずは私のほうで、実際にいくらぐらいで売れる可能性がある不動産なのかを調査させていただくことにしました。

 路線価や公示価、周辺の土地の販売価格、実際の成約価格をもとに、売れる可能性の高い価格帯を算定していきます。もちろん用途地域や土地の形状、接している道路の方角、種類、道路幅、過去の経験値やプロとしての感覚なども含めながら総合的に価格を判断していきます。ポスティングチラシでは6000万円(30坪なので坪200万円)という記載がありましたが、実際に取引されている価格帯や総合的な判断の中でいくと、実際に売れる可能性の高い価格帯は坪170~180万円(5100~5400万円)程度ではないかという査定書を私は作成いたしました。

 初回のご面談から約1週間後に再度時間を頂き、その調査結果を報告したところ、A様からは「なるほど。よくわかりました。ただ少しでも高く売れるに越したことはないから、まずはポスティングチラシに入っていた6000万円でやってみてくれないかな?」というお話がありました。

 私としても、もちろん高く売ってお客様に喜んでいただきたいので、次のような販売活動方法をご提案させていただきました。

ご提案した販売活動方法

・まずは販売価格6000万円でスタートする
・当初1か月間はインターネットを含めた広告媒体には一切、この不動産の情報を掲載しない
・お父様の自宅から最寄り駅の不動産仲介業者にだけ、私から、この不動産の売却情報の概要のみを伝える。
・1か月の間は、その不動産仲介業者のお客様だけに案内してもらい、具体的なお客様が出てきた際には、私の方に連絡いただき、詳細資料を開示する。

 なぜこのような販売活動方法を提案したかというと、このお父様の自宅がある場所は最寄り駅から徒歩5分以内の好立地であり、しかもその最寄り駅は急行の停車駅。
都心の主要ターミナル駅まで急行に乗れば、乗り換えなしで約15分で、なかなか売りものが出ないエリアでもあったので、敢えて一般公開はせずに、限られた中での販売活動を行ったほうが、通常よりも高く売れる可能性があると判断したからです。

 もしあなたがこのエリアで土地を探していたらどうでしょう?想像してみてください。

 今までなかなか物件が出てこなかったところに、土地探しをお願いしていた不動産会社さんから「実は今、一般公開はされていないのですが、お客様にだけお伝えしたい情報があります。この土地が30坪で6000万円で売りに出る予定です。まだインターネット上には公開されていません。1か月後にはインターネットで公開されるので、検討するのであれば今ですよ」と言われたら、その土地がとても魅力的に感じませんか?

 そうなんです、表に出ていない不動産情報というのは、購入希望者にしてみると、とてもお得感を感じるのです。

 また、この販売方法にはもう1つ利点があります。1か月間は、実際に広く情報を出すことなく、本当に6000万円で売れる可能性があるのかどうかというのを見極めることもできるのです。
実際に情報を一般公開しないで活動をしてみて、やはり6000万円では売るのは難しそうという判断ができれば、1か月後に一般公開するときには、価格を少し下げてから出すということもできるのです。

 6000万円でいきなり一般公開をしてしまって、しばらく売れなくて価格を下げると、どうしても値下げをした土地という印象が残ってしまいます。ですので、この進め方は一旦、チャレンジ価格でお試しができるというメリットがあるのです。もちろん、この活動の中で購入希望者が見つかってしまえば、これほどラッキーなことはありません。

 ではこのA様の場合はどうなったのでしょう。

 なんと近隣の不動産仲介業者に私が話をしてから、1週間後に具体的に検討したいお客様がいるから詳細資料が欲しいと連絡があったのです。そして、詳細資料をお渡しして、2週間後には6000万円での購入申込書が私の手元に届きました。

 購入希望者は、お子様が2人いるご家族で、学区が変わらないこのエリアで1年以上、土地を探していたようです。なかなかこのエリア内で土地が出てこない中で、今回、まさに自分たちの希望にあった土地が出てきて、土地は相場よりも少し高いけれども、建物の建築費を少し削れば予算内におさまるため、即購入を検討したいというお客様でした。

 ですので販売活動を始めてから、約1か月後には、A様の希望する価格で売買契約を締結することができたのです。

 さらに、A様と妹様の手取り額を少しでも増やすために、以下のような提案もさせていただきました。

手取り額を増やすためのご提案

・建物の取り壊しをA様とA様の妹様(売主)の負担で行う
⇒「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例(空き家特例)」が適用になる

・お父様名義の土地、建物をA様とA様の妹様で2分の1ずつ取得してから売却をする
⇒A様・A様の妹様それぞれで「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例(空き家特例)」が適用になる。

 一旦、お二人で半分ずつ相続をすることで、空家特例の控除が2枠分(6000万円まで)使えることになるため、税引き後の手取り額でそれぞれ約226万円もの違いが出てきます。

「こんなにちょっとした違いで、大きな差が出てくるんですね」とA様。

「そうなんです。こうしたことを知っているか知らないかだけでも、こんなに差が出てしまうのです。だからこそ、不動産の売却は誰に頼むのかがとても大切です」

 このように相続した不動産の売却では、その不動産に合った売り方(売却方法)や税制の特例を最大限活用するなど、一般の方ではなかなか思いつかないこと、本やインターネットでは出てこないことが大きなポイントになり得るのです。
ポイント整理
・相続(遺産分割)の方法によっては手取り額が大きく変わることがある
・相続した空き家を売却する場合には「空き家特例」の適用要件をしっかりと把握しておく
・相続した不動産の売却は、経験豊富なコンサルタントに依頼すべし
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