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自宅を売るときに建物を壊すタイミング

  • 2022.09.12
  • カテゴリ: 不動産相続コラム

 築年数が古くて、かなり傷んでおり、これから先そのままではとても住むことができないような実家を親から相続した場合、あなたはどうしますか?
 
 高いお金をかけてリフォームをして、賃貸や売却をしますか?もしかしたら都心の実家であれば、それなりのお金をかけることによって、また利用できる不動産として復活できる可能性もあるでしょう。ただ、そうでない場合は、なかなかお金をかけて再利用しようとは思わないのが実情じゃないでしょうか?

 そうすると古い建物を残しておいても仕方ないですし、管理や防犯上の観点からも、早めに建物を取り壊してしまったほうがいいと思いませんか?もし売却をするのであれば古い建物が建っているよりも更地の方が、見栄えもよくなります。

 では建物はどのタイミングで取り壊すのがベストなのでしょうか?意外とここにも知っておいたほうがいいポイントがあるので紹介したいと思います。

建物を壊すと固定資産税・都市計画税が上がる!?

 建物を壊して更地にすると、土地の固定資産税・都市計画税が上がるという話を聞いたことはないですか?これ、実は本当なんです。だから世の中の皆さんは、空家になってもすぐに建物を壊さないんですね。

 ではなぜ固定資産税や都市計画税が上がってしまうのでしょうか?それは更地にすることによって固定資産税・都市計画税の特例がなくなってしまうからです。

 建物が建っている土地は「住宅用地」として固定資産税減額の特例措置を受けることができるため、固定資産税・都市計画税の税額が更地のときよりも1/3~1/4ぐらいに減額されるのです。(※行政によっては内容が多少異なる場合もありますので、ご自身で対象地の管轄の資産税課等に確認してみてください。)

 ではこの特例は、空家の場合には該当するのでしょうか?

 現時点でいうと、空家でも建物が建っていれば「住宅用地」として判定されているため、固定資産税や都市計画税が軽減されているケースがほとんどです。ただし、近年施行された「空家対策特別措置法」では、行政は危険な状態にある空家に対して特定空家の認定を行い、各市区町村の権限で撤去や勧告、修繕の指導を行えるようになっています。

 もし特定空家に指定され、撤去や修繕の指導に従わなかったときは、固定資産税の住宅用地特例から除外されてしまいます。そうなると固定資産税や都市計画税の軽減は受けることができなくなってしまいます。(固定資産税・都市計画税額が約3~4倍に増えます)

 現時点でいうと、あまりにも管理状態の悪い空家でないかぎりは、行政から調査や指導が入ることは考えにくいので、外からの見た目だけでも、近隣の方が不安にならない程度にちゃんと管理をしておけば、「住宅用地の特例措置」をすぐに外されることはないと思います。ですから、固定資産税の観点から考えると、空家になっても建物をすぐに取り壊すことはせずに、必要最低限の管理をしておくことが大きなポイントです。

「住宅用地の特例措置」が適用になる判断時期は?

 固定資産税の「住宅用地の特例措置」が、その年に適用となるかどうかは、毎年1月1日時点で、その土地に建物があるかないかで判断されることになります。ここも要注意ポイントです。例えば、年末に近い時期に相続した空家の売却をスタートさせて、年内に建物を壊して更地にしてしまうと、翌年、その土地が売れ残っていた場合、高い固定資産税を支払わなくてはいけなくなってしまいます。
 
 ですから建物を取り壊すタイミングは、依頼する不動産会社と相談して、今後の売却戦略や売却スケジュールをよく考えた上で決めていったほうがいいでしょう。

解体工事費用の負担

 建物を取り壊すためには当然、解体工事費用がかかります。30坪程度の木造住宅であれば解体工事費用が約150~200万円程度はかかるでしょう。(※建物の構造や階数、敷地の形状や前面道路の幅、近隣の交通状況などによっても解体工事費用は大きく変わりますので、必ず見積もりを取得しましょう。)

 もし、あなたが空家の売却を考えていた場合、解体工事もそれなりの費用になるため、売却先が全く見つからないのに、先に解体工事費用をかけて建物を取り壊すことに不安を感じるかもしれません。それであれば、建物を残したまま、販売活動をすること自体は可能です。(更地での引渡しを条件に入れて、古家ありのまま販売活動を行うことができます)

 そうすれば、買主が見つかってから、安心して建物を取り壊すことが可能になります。もちろん見栄えの問題もあるので、古家をそのままで売却した方がいいのか、それとも先に更地にしてしまって見栄えを良くしてから売ったほうがいいのか、販売戦略や不動産の立地等によっても異なりますので、このあたりは不動産会社としっかり打ち合わせをして決めることが大事です。

空き家特例の適用

 この特例が適用になれば、空家を売却して出た利益のうち3,000万円までは税金がかからないことになります。

 ポイントはこの特例を適用するためには、対象となる空家を「①耐震基準を満たすようにリフォームをする」または「②取り壊して更地にする」のいずれかの状態にして、売却しなければいけないということです。現実的には①の空家を耐震リフォームをして売るケースはあまりないため、②の空家を壊して更地にする、ということが主な適用要件となると考えてもらっていいでしょう。

 そして②の場合、建物を解体しないでそのまま売る場合(空家特例を適用しない)と、建物を解体して更地にして売る場合(空家特例を適用)では、下記の2つの表を比較してわかるとおり、売却後の手取り額で大きな差が出ることがあります。
 
 更地にしてから売却をすれば、先に解体工事費用の負担はありますが、②の更地条件で空家特例が適用できれば、最終的な税引き後の手取り額ではかなり有利になります。ですので空家を売却するときには、この特例を適用ができるか否かをまずは検討すべきでしょう。
 
 ちなみに空家特例は、引渡しまでに更地にしておけばいいので、販売活動は建物はそのまま(更地での引渡し条件付)で行い、買主さんが決まって売買契約をしたあとに、建物を解体するというスケジュールで行うことも可能です。

 このように親から相続をした空家を売却する場合は、どのタイミングで建物を取り壊すかがとても重要になってきます。こうしたこともしっかりと頭に入れた上で不動産会社に相談をしましょう。

空き家特例を適用すると・・・

 下記の表は空き家特例を適用した場合の表です。

 建物解体費用の負担はありますが、空き家特例で税額が3000万円控除されるため、結果的には譲渡所得税の負担がなくなり、空家特例を適用しなかった場合(建物解体をしなかった場合)と比較して343万円も手取り額(税引き後での比較)が多くなっています。
ポイント
・建物を壊すと固定資産税、都市計画税が上がるため、建物を壊すタイミングが重要
・解体工事費用もそれなりにかかるため、解体工事を行うタイミングも不動産会社としっかり打ち合わせすべき
・空家特例の適用ができると、税額が大きく減らせるため、適用要件を頭に入れた上で販売活動をしよう
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