コラム
不動産は何よりも道路が重要!
- 2022.08.25
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不動産相続コラム
一戸建てを査定(いくらぐらいで売れるのかを価格算定すること)する時に特に大切なのが道路です。道路と言われてもたぶんピンときませんよね。普通はどこの家も敷地から出た目の前には道路や通路があります。ところがこの道路にもいくつか種類があります。
実はこの道路の種類によって、その一戸建ての資産価値(査定価格)は大きく変わるのです。
公道か私道か?
まず確認しなくてはならないのが、その一戸建ての敷地が面している道路が「公道」なのか「私道」なのかということです。「公道」か「私道」かは道路の所有者または管理者が誰なのかで判断をします。一般的には道路の所有者が国や都道府県、市区町村であれば公道、それ以外の一般の個人であれば私道です。
また、不動産開発業者が、何もない土地から、何区画もあるような宅地造成を行う際に造る道路は、所有者が開発業者であっても、市区町村道の認定を受けていることもあります。(これを位置指定道路と言います)一部例外的に、道路の所有者が一個人であっても、都道府県や市区町村が管理している道路もあります。
接道している道路が公道や位置指定道路であれば、査定価格や販売活動に大きな影響が出ることはありませんが、私道の場合は、その私道の管理状況によっては査定価格や販売活動に影響が出ることがあります。
例えば、私道の場合は、売買契約締結時に、決済日までに「通行・掘削承諾書」を私道の所有者全員から取得することを条件とされることがよくあります。買主は「通行・掘削承諾書」がないと、建築工事をする際にガス管や水道管の工事で私道の掘削工事ができないことがあるからです。私道の所有者全員が快く承諾してくれれば問題はないのですが、私道の所有者が多い場合や、中には承諾をしてくれない人がいたりすると、販売活動がスムーズにいかなくなる場合もあります。
また私道の場合は、今後私道の維持管理、舗装工事などに費用の負担がかかる場合もあります。そうすると、公道に面した土地よりも価格が少し下がることも考えられます。
建築基準法上の道路かどうか?
次に「公道」や「私道」に関わらず、最も重要なのが、接している道路が建築基準法上の道路かどうかということです。これは役所の建築課に行けば誰でも調べることができます。(最近では対象地のある市区町村のインターネット上でも調査できることもあります)
もし建築基準法上の道路に面していない場合は、その土地では新たな建築(つまり建替え)をすることができません。建替えをすることができない土地だと、既にある建物をそのまま利用するか、建物取り壊し後には建物を建てない活用(駐車場や資材置き場など)だけしかできないため、価格は周辺相場よりも大幅に下がります。
建築基準法道路の種類
建築基準法上の道路の中で最もよくある道路が42条1項1号道路です。これが最も普通の道路です。
また一戸建ての場合、42条2項道路もよく出てきます。これは現在、接している道路の幅が4mを満たしていない道路で、建替えをするときには、道路の幅が4mになるように建替えをしなさいという条件がつく道路です。これをセットバックと言います。
42条2項道路に面している土地の場合は、セットバックをすることによって現在の面積よりも土地が小さくなる(すなわち建替えをする場合の建物の大きさも小さくなる)ことになるため、セットバックで土地面積が減る分が売買価格に影響することが考えられます。
例外的に建築基準法上の道路に面していない場合でも、以下の条件を満たす土地で、建築審査会の同意を得て許可を受けることができた場合には、建替えが可能になります。
・広場、公園、緑地などの広い空地が周囲にある場合
・4m以上の農道等の道路に2m以上、接している場合 ※農道は建築基準法上の道路ではありません
・道に準ずる通路(神社の参道など避難通行上安全であるもの)に接している場合
ただし、これらの条件については行政によって基準が異なったり、建替え申請時に許可が下りたとしても、将来にわたって永続的に許可が下りることが確約されることはありません。そうしたことから一般的には銀行の融資(住宅ローン)が受けにくい土地となります。
ですので、建築基準法上の道路に面していない土地を売却する場合は、周辺相場よりも大幅な価格の減額を覚悟しなくてはなりません。
接道は2mあるか?
都市部で指定されている「都市計画区域」では、建築基準法により、住宅など建築物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」と規定されています。ですから、道路に全く接していない土地や、2m未満の間口しかない土地では、原則として建替えができません。ですから接道が2mない土地の場合も、周辺相場よりも大幅な価格の減額となります。
このように見た目は同じ道路でも、道路の種類や接道状況によって、所有している不動産が売れる価格は大きく変わる可能性があります。
ポイント
・まず確認すべきは「公道」か「私道」か
・次に確認すべきは「建築基準法上の道路」かどうか
・接道しているのが建築基準法上の道路だとしても2m以上の接道があるかどうか
・接道している道路の種類や状況によっては再建築ができない土地である可能性があるため、事前にしっかりと調査をしておくべき