コラム
相続した空き家を有効活用する方法 〜世田谷区の空き家、放置せず“生かす”選択を〜
- 2025.06.19
- カテゴリ:
不動産相続コラム
親から不動産を相続した──。
しかし、その家はすでに何年も使われておらず、空き家になっている。
特に世田谷区のように住宅地が多く、地価も高い地域では「このまま放置していていいのか?」と頭を悩ませる方が増えています。
空き家をそのままにしておくと、景観や防犯の問題だけでなく、固定資産税の増額や近隣トラブルといったリスクもあります。
一方で、しっかりと有効活用すれば「収益源」や「資産価値の向上」へとつながる可能性も。
この記事では、世田谷区の実情を踏まえながら、相続した空き家をどのように活用すべきか、5つの視点から解説します。
【第1部】なぜ空き家問題が深刻なのか?世田谷区の実情
■ 世田谷区の空き家率と行政の対応
世田谷区では、高齢化により住む人がいなくなった住宅が年々増加しています。
特に昭和40〜50年代に建てられた木造住宅では、老朽化や耐震性の問題が顕在化し、空き家として取り残されているケースが目立ちます。
世田谷区は「空家等対策計画」を策定し、適正管理や利活用の支援に力を入れています。
しかし、相続された側が対応に戸惑っているのが現状です。
■ 空き家を放置するとどうなる?
・建物の老朽化による倒壊・火災リスク
・ごみの不法投棄や動物の侵入
・「特定空家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除
・近隣住民とのトラブルや行政指導の対象に
【第2部】活用前にやるべき「3つの基礎チェック」
① 建物の状態を調査
・雨漏り、シロアリ被害、耐震性の確認
・建築士やリフォーム会社にインスペクション依頼が有効
② 法律・権利関係の確認
・相続登記が完了しているか?
・建築基準法・都市計画法の制限、接道条件など
・世田谷区では43条但し書き道路の物件も多く、注意が必要
③ 収支バランスを試算
・リフォーム・解体・活用後の収益見込み
・固定資産税・管理費などの維持コストも試算しておく
【第3部】空き家の活用方法5選(世田谷区向け)
① 賃貸住宅として運用(リノベーション)
・古家をフルリフォームして貸し出す
・世田谷区では築古でも内装が整っていれば賃貸需要あり
・シングル向け1LDKやファミリー向け3LDKが人気
② 建替え+賃貸併用住宅に
・自分が一部住みながら、残りを貸し出す形
・相続人自身が住む場合、住宅ローン控除や小規模宅地の特例活用も視野に
③ 月極・時間貸し駐車場に転用
・建物を解体し、簡易舗装して月極駐車場に
・世田谷区は駅近の駐車場需要が高いため、安定収入が見込める
④ シェアハウスや民泊として運営
・若者や訪日外国人向けにシェアハウス化
・民泊は「住宅宿泊事業法」や世田谷区の条例に適合させる必要あり
⑤ 売却による資金化
・活用が難しい場合は思い切って売却も選択肢
・世田谷区は買い手が付きやすく、相場も高いためスムーズな売却が期待できる
【第4部】世田谷区での空き家活用の成功事例
■ 事例①:祖父母の家をリノベして賃貸
・用賀駅近くの築50年の木造住宅
・500万円の改装で外観と内装を一新
・月12万円で賃貸契約成立、年間収入144万円
・相続税の一部をこの収益でカバーできたとの声
■ 事例②:狭小地を時間貸し駐車場に
・三軒茶屋の15坪の土地
・建物を解体し、コインパーキングに転用
・管理会社に委託して、手間をかけず月5万円の収益化に成功
■ 事例③:高齢親族のための建替え+二世帯化
・成城の旧家を建替え、親との同居を前提に二世帯住宅に
・小規模宅地の特例をフル活用し、相続税の圧縮にも成功
・将来的に売却もしやすい間取り・仕様を意識
【第5部】空き家活用を検討するときのチェックリスト
・空き家の所有者名義が登記上で明確になっているか
・建物のインスペクションを実施済みか
・再建築可能な土地か(接道義務など確認)
・世田谷区の条例や規制に適合しているか
・活用後の収支見込みは試算しているか
・管理委託・運営パートナーの選定は進めているか
・相続税や譲渡税などの税務相談は済ませているか
・家族内で空き家の扱いについて意見の擦り合わせをしているか
空き家は「負動産」ではなく「活かせる資産」
相続した空き家を持て余し、「面倒」「よくわからない」と放置してしまうのは非常にもったいないことです。
世田谷区のように不動産の価値が高く、交通や生活インフラも整っている地域では、空き家こそが未来の“収益源”や“生活資源”となる可能性を秘めています。
まずは“現地確認”と“情報整理”から。
そのうえで専門家の力も借りながら、その空き家に最適な活用方法を一緒に見つけましょう。
空き家は、活かせば立派な「資産」となります。