コラム
子どもが遠方にいるときの相続対策 〜世田谷区の不動産をどう引き継ぐか〜
- 2025.06.20
- カテゴリ:
不動産相続コラム
世田谷区に不動産を所有しているが、子どもは関西や海外など遠方に住んでいる──。
こうした家庭は決して少なくありません。
都市部である世田谷区では、高齢化が進む一方で、子ども世代は進学・就職・結婚を機に地元を離れる傾向が強く、
「実家を相続しても戻るつもりがない」「管理できる人がいない」といった課題が生じやすくなります。
この記事では、子どもが遠方にいる家庭が、世田谷区の不動産相続を円滑に進めるための対策を5つの視点から解説します。
【第1部】遠方に住む子どもが抱える相続の負担とは
■ 突然の相続で「現地対応」が困難に
・不動産の登記変更、名義変更、空き家管理など、対面対応が必要な手続きが多い
・特に世田谷区では、都市部特有の法規制(接道義務や用途地域)も複雑
■ 不動産の扱いに悩むケースが増加
・「実家に戻るつもりがない」「賃貸か売却か判断できない」
・地元に不動産会社や司法書士のツテがないと相談先も限定されがち
【第2部】親が元気なうちにやっておきたいこと
■ 不動産の現状把握
・建物の状態、土地の法的状況(建ぺい率・容積率)、再建築の可否など
・世田谷区のような都市部では「43条但し書き道路」等の問題も事前確認が重要
■ 相続人同士で話し合う時間をつくる
・「誰が不動産を引き継ぐのか」「売却して分けるのか」を明文化
・離れて暮らしていても、オンライン会議などで方向性を共有する工夫を
■ 公正証書遺言の作成
・トラブル防止のため、遺言書は手書きよりも公正証書が安心
・公証役場は世田谷区内にも複数あり、高齢者でも利用しやすい
【第3部】「管理」の問題をどう乗り越えるか
■ 空き家管理のアウトソーシング
・不動産管理会社に委託(月額1万〜2万円程度)
・世田谷区では空き家対策事業者の紹介も行政が実施中
■ 定期的な現地確認の手配
・年1〜2回、現地確認と簡易清掃を依頼するプランもある
・郵便受けの確認、不法投棄のチェック、草木の整備など
■ 建物の売却・活用も視野に
・"住まない"のであれば、早期売却や賃貸化も視野に
・世田谷区は築古でも需要があり、空き家を収益化しやすい
【第4部】相続発生後のスムーズな対応策
■ 代理人選任と委任状の準備
・相続人が遠方の場合、地元にいる親族や専門家に一部手続きを委任
・委任状は法的効力があり、名義変更や売却手続きも進めやすい
■ オンライン手続きの活用
・相続登記は司法書士にオンラインで依頼可能
・銀行口座の名義変更も書類郵送と電話で対応可
■ 地元専門家との連携が鍵
・世田谷区の不動産相続に精通した税理士・司法書士との連携が重要
・地元の事業者を紹介してくれる地域包括支援センターの活用も有効
【第5部】遠方の相続人が備えるべきチェックリスト
□ 不動産の権利関係を確認している
→ 登記簿謄本を取得し、被相続人名義か、共有かを把握
□ 空き家の管理方法を決めている
→ 自分で行うか、管理会社へ委託するかを検討済み
□ 家族間で不動産の取り扱いを話し合っている
→ 売却・賃貸・使用などの方針を共有・文書化
□ 遺言書の有無と保管場所を把握している
→ 公正証書遺言なら公証役場、私文書なら自宅などに保管されているか確認
□ 専門家(税理士・司法書士等)のリストを用意している
→ 世田谷区に拠点のある信頼できる専門家をピックアップ
□ 必要書類をリストアップ・収集している
→ 戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、印鑑証明書など
□ 世田谷区の地価・路線価を調べている
→ 相続税額の目安を把握するため、国税庁の路線価図などを確認
□ 委任状のひな形を準備している
→ 緊急時に代理で手続きできるよう書式を確保(司法書士に相談も可)
□ オンラインでできる手続きの情報を収集している
→ 郵送・Web・電子申請など、遠方からの対応策を確認
距離があるからこそ、準備は早めに
世田谷区の不動産は資産価値が高い一方で、管理や手続きの煩雑さも相まって、遠方に住む相続人にとっては大きな負担となることもあります。
しかし、親が元気なうちに「話す・決める・書く」の3ステップを踏んでおけば、将来のトラブルは大きく軽減できます。
相続は「そのときが来てから」ではなく、「まだ来ていないうちに」こそ備えるもの。
遠く離れていても、家族で共有し合い、世田谷区の大切な不動産を次の世代へと安心して引き継ぎましょう。