コラム
相続税が払えない!そんなときの対応策 〜世田谷区で不動産を相続した方のための実践ガイド〜
- 2025.06.11
- カテゴリ:
不動産相続コラム
親が亡くなり、土地や家を相続した──。
しかし、その直後に届いた「相続税の申告と納税のお知らせ」に青ざめたという方は少なくありません。
特に世田谷区のように地価が高く、相続財産の多くが不動産というケースでは、「現金はほとんどないのに税金だけが重い」という“資産はあるが払えない”現象が多発しています。
今回は、相続税が払えないときに世田谷区の方が知っておくべき現実的な対応策について、5部構成で詳しく解説します。
【第1部】なぜ「払えない相続税」が発生するのか?
■ 世田谷区の不動産が高額すぎる
・成城・岡本・代沢・深沢など高級住宅街では、1区画だけで相続税評価額が1億円を超えることも
・自宅はあるが預貯金は少ないという“資産偏重”の家庭が多い
■ 不動産評価の落とし穴
・相続税評価額は路線価ベースで算定されるが、実際の売却価格と乖離するケースも
・しかも住宅ローンが残っていても、債務控除の認定がされにくい場合も
→ 世田谷区では“地価高ゆえの納税困難”が、相続トラブルの最大要因の一つになっています。
【第2部】納税期限と基本対応(延納・物納)
■ 納税の基本ルール
相続税は相続開始(=被相続人の死亡)から10ヶ月以内に申告・納税が必要
この期間に申告書作成・評価・分割協議・納税を終える必要がある
■ 延納制度(分割払い)
相続税を分割で払う制度。担保提供が必要
最大20年の延納が可能(利子税がかかる)
世田谷区では、不動産を担保にした延納申請がよく使われる
■ 物納制度(不動産で納税)
現金で払えない場合、相続した不動産を税務署に引き渡す制度
ただし、条件が厳しく、建物の老朽化や道路付け次第では却下されることも
世田谷区内では物納希望の相談も多いが、実際に認められるのはごく一部
→ 専門家のアドバイスを早期に受けることが重要です。
【第3部】不動産を活かす納税対策
■ 一部売却による現金化
世田谷区内の不動産は資産価値が高く、土地の一部を売却することで納税資金を得る事例が多い
「分筆して売る」「古家付きで売る」など柔軟な戦略が必要
■ 賃貸活用で収益化
賃貸物件化し、その収入を納税資金に充てる
築年数が古い場合はリフォームや建替えとセットで検討
■ リバースモーゲージ(高齢者が担保に融資を受ける)
親が存命中に利用できる制度。世田谷区では取扱金融機関も多い
相続税対策には直接使えないが、遺産整理の一環として活用されることも
→ "売る・貸す・借りる"の三択で、現金化を現実的に検討しましょう。
【第4部】世田谷区で使える支援制度・相談先
■ 世田谷区役所・税務課
相続税に関する一般的な相談が可能(ただし具体的な税額試算は不可)
延納・物納に必要な証明書発行も対応
■ 都税事務所(北沢・玉川など)
路線価評価や固定資産税評価証明書の発行
評価額に関する異議申し立ても受付
■ 税理士会世田谷支部
相続税のシミュレーションや納税相談を実施
初回無料相談を実施している税理士も多い
■ 不動産会社・相続診断士
相続不動産の活用や売却に強い地元業者と連携
世田谷区では地域密着型の専門家ネットワークが存在
→ 相談窓口は複数あるため、早めの情報収集がカギです。
【第5部】「相続税が払えないかも」と思ったらすぐやるチェックリスト
相続開始日と申告・納税期限の確認
→ 相続発生日から10ヶ月以内が期限。期限超過で延滞税
相続財産の一覧化
→ 不動産(路線価評価)、預貯金、有価証券、保険など
現金・預金の保有状況
→ 即納税に使える現金・預金の有無と額
分割協議の進捗状況
→ 相続人全員との合意があるか(未合意だと物納不可)
延納制度の検討
→ 分割払い可能か?担保として出せる不動産の評価確認
物納制度の検討
→ 物納要件(不動産の状態・用途地域・権利関係)を満たすか
不動産の一部売却計画
→ 売却可能な土地・建物の有無と時期
賃貸やリースでの活用検討
→ 活用して現金収入を得る道はあるか
税理士への相談
→ 相続税試算・納税計画立案を依頼したか
世田谷区役所・都税事務所への相談
→ 評価証明・公的サポートの確認済みか
「払えない」ではなく「対策する」が正解
相続税の負担は大きいものですが、何もしなければ延滞税や差押えといった最悪の事態にもなりかねません。
特に、世田谷区で不動産を相続した場合は、その評価額の高さゆえに想像以上の納税額になることが多いです。
「払えないかもしれない」と思ったら、すぐに専門家に相談する。延納や物納を検討する。一部を売却する──。
選択肢は必ずあります。
大切なのは、早めの行動と正確な情報。
世田谷区にお住まいの皆さまには、「知らなかった」で損をしない相続を実現していただきたいと思います。