コラム
相続に関するQ&A|よくある疑問に答えます 〜世田谷区の相続相談窓口に寄せられる実例から〜
- 2025.06.29
- カテゴリ:
不動産相続コラム
相続といえば、税金や手続きが難しそう、家族と揉めそう、何から始めればいいかわからない──。
そんな不安を抱える方が、世田谷区でも年々増えています。
世田谷区は、全国でも地価が高く不動産の評価額が高くなりやすい地域。そのため、ちょっとした手続きの差が、大きな税金負担やトラブルにつながりかねません。
本記事では、実際に世田谷区内の相談窓口でよく聞かれる疑問をQ&A形式で取り上げ、それぞれの疑問に丁寧にお答えします。相続を“自分ごと”として考え始めた方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
【第1部】Q1〜Q3:基本のキホン編
◆Q1. 親が亡くなったら、まず何をすればいい?
まずは「死亡届の提出」が最初の手続きです。その後、「遺言書の有無の確認」「相続人の調査」「財産の把握」などを順番に行っていきます。
世田谷区内では、区役所の戸籍課や世田谷区法務局などで必要書類を取得できます。死亡後の相続関連手続きは時間との勝負でもあるため、スムーズな段取りが肝心です。
◆Q2. 相続人ってどうやって決まるの?
相続人は法律で定められており、基本的には配偶者と子どもが優先順位の上位です。配偶者は常に相続人となり、子どもがいない場合は親や兄弟姉妹が関係してきます。
世田谷区では、高齢の相続人が多くなる傾向があるため、認知症対策なども考慮すべき点です。
◆Q3. 相続放棄したいときはどうすれば?
家庭裁判所で「相続放棄の申述」を行います。期限は「相続開始を知った日から3か月以内」。
世田谷区の家庭裁判所(東京家庭裁判所世田谷出張所)で手続き可能です。相続財産に借金が多い場合などは早めの判断が大切です。
【第2部】Q4〜Q6:不動産に関する疑問
◆Q4. 自宅や土地はどうやって評価されるの?
土地は「路線価」や「固定資産税評価額」を基準に評価され、建物は築年数などによって減価されます。
世田谷区は地価が高いため、相続税評価額も高くなる傾向にあります。小規模宅地等の特例を活用すれば、最大で80%減額できるケースもあります。
◆Q5. 兄弟で不動産を共有すると何が問題?
共有状態では売却・貸出などに全員の同意が必要になるため、トラブルが起きやすくなります。相続の際はなるべく「単独名義」にしておくことをおすすめします。
世田谷区内の相談事例でも、相続から20年後に不動産を巡って兄弟間で裁判になるケースが後を絶ちません。
◆Q6. 相続登記の義務って本当にあるの?
2024年4月から、相続登記は義務化されました。3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科されることもあります。
登記申請は東京法務局世田谷出張所が担当。司法書士に依頼することでスムーズに進められます。
【第3部】Q7〜Q9:税金と節税のリアル
◆Q7. 相続税っていくらからかかるの?
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。これを超えると課税対象になります。
世田谷区のように不動産価値が高い地域では、現金を持たなくても税金がかかるケースが多く、早めの資産把握とシミュレーションが大切です。
◆Q8. 生前贈与の非課税枠って?
年間110万円までは贈与税がかかりません(暦年課税)。また、相続時精算課税制度を使うと2,500万円まで非課税で贈与可能ですが、将来的に相続税に組み入れられる点に注意が必要です。
世田谷区では「生前贈与→相続税圧縮→不動産活用」まで一貫支援する事業者も増えてきています。
◆Q9. 税務署から「お尋ね」が来たら?
相続後、税務署から「お尋ね」文書が届く場合があります。これは「相続税の申告が必要では?」という確認通知。
放置せず、必要に応じて税理士に相談を。世田谷税務署や上北沢税務署がエリアごとに担当しています。
【第4部】Q10〜Q12:家族関係と対話の大切さ
◆Q10. 親が認知症になったら、相続対策はできない?
原則として、判断能力を失った後は有効な遺言書や贈与ができません。この場合は成年後見制度を検討する必要があります。
世田谷区社会福祉協議会では、成年後見の相談窓口も設けられています。早めの準備が重要です。
◆Q11. 家族で話し合うと揉めそうで不安です…
不安こそ早期対策のサイン。家族会議を開いて、専門家を交えて対話することがベスト。
不動産相続コンサルタントなどの第三者を活用する方法もあります。
◆Q12. 遺言書はあったほうがいい?
間違いなく「あったほうがいい」です。特に世田谷区のように不動産の価値が大きい地域では、明確な意思表示があるだけで相続争いを防ぐ大きな要因になります。
自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など形式を理解し、自分に合った準備をしておきましょう。
【第5部】チェックリスト|相続前に確認しておきたい10のポイント(世田谷区対応)
□ 相続人が誰か明確になっているか
→ 戸籍を取り寄せて、漏れなく確認(再婚・認知などの影響も)
□ 親の遺言書があるか、保管場所がわかっているか
→ 公正証書・自筆証書・法務局保管の有無を確認
□ 自宅や土地の登記簿を確認したか
→ 世田谷区の法務局で取得。名義が古いままのケース多し
□ 不動産の評価額を把握しているか
→ 路線価図や固定資産税評価証明書で確認。世田谷区は評価額が高め
□ 小規模宅地等の特例や配偶者控除を理解しているか
→ 節税に直結する制度。適用条件も事前に整理
□ 相続税の概算を試算しているか
→ 財産総額・法定相続人数から基礎控除を引いて判断
□ 相続登記の期限と手続きを知っているか
→ 義務化により“3年以内”。怠ると10万円以下の過料リスクあり
□ 借金や連帯保証などの負債も把握しているか
→ プラスの財産だけでなく、マイナスもリストアップを
□ 世田谷区内の専門家(司法書士・税理士など)に相談済みか
→ 地元に精通した相続実務のプロと連携を
□ 家族会議の場をすでに持っているか、予定しているか
→ 対話の不足が“争族”の原因。日常会話から準備を
疑問をそのままにしないことが“最善の対策”
相続は「誰にでも起こる身近な出来事」でありながら、疑問や不安が多いテーマでもあります。
世田谷区のような都市部では、相続に関わる金額が大きくなる分、小さな判断ミスが大きな損失につながることも。
Q&A形式でよくある疑問を整理することで、ご自身の状況にあてはめて考えるきっかけになれば幸いです。
わからないことがあれば、まずは気軽に相談を。行動を早めることが、何よりも大きな安心と節税につながります。