コラム
空き家を売るか残すか?判断基準と注意点 ~世田谷区で後悔しない選択をするために~
- 2025.05.20
- カテゴリ:
不動産相続コラム
「親が亡くなって実家が空き家のまま…」
「いずれ誰かが住むかもと思って残してるけど、正直どうすればいいか分からない」
世田谷区で不動産相続や空き家についてのご相談を受けていると、こうした声をよく耳にします。
実は、世田谷区は東京23区内でも特に空き家の数が多い区の一つです。
理由は、地価が高く物件を持っている人が多い、親子での同居が少ない、住宅の老朽化などさまざま。
一見立派な戸建て住宅でも、誰も住まないまま放置されている空き家は年々増え続けています。
この記事では、空き家を「売るべきか」「残すべきか」で悩んでいる方に向けて、
世田谷区ならではの判断基準や注意点を、5つの視点で整理してお届けします。
【第1部】そもそもなぜ「空き家のまま」にしておく人が多いのか?
世田谷区の空き家所有者の多くは、以下のような理由で決断を先延ばしにしています:
「将来、子どもが住むかもしれない」
「思い出が詰まっているから手放しづらい」
「売るには手間とお金がかかりそう」
「税金は払ってるけど、それ以外は放置…」
特に世田谷区のように地価が高く、“資産価値がある土地”を手放すことに抵抗を感じる方が多いのが特徴です。
しかし、空き家は放置すればするほどリスクもコストも増加します。
今後、「売るか」「残すか」を明確に判断しなければ、資産価値は減少し、管理責任だけが残るという状態に陥ってしまいます。
【第2部】「売る」メリットと、世田谷区で高く売るためのコツ
世田谷区で空き家を売る最大のメリットは、資産の現金化ができることです。
【売却のメリット】
・管理・維持の手間がなくなる
・固定資産税や火災保険などの経費が不要に
・売却代金で相続税・贈与税などの支払いにも充てられる
・他の家族や兄弟との分割がしやすくなる
【世田谷区で高く売るコツ】
・エリアのニーズを把握する
→ 下北沢、三軒茶屋、経堂など、若年層のニーズが高い場所は建物再生も可能。
・更地にするか、古家付きで出すか判断
→ 取り壊し費用や「古家再利用」のニーズを考慮。
・不動産会社を複数比較する
→ 世田谷区は業者数も多く、得意なエリア・価格帯が異なるため、査定は複数取りが必須。
・「相続空き家特例(3,000万円控除)」を活用
→ 一定の条件を満たすと、売却益にかかる譲渡所得税が3,000万円まで控除される可能性あり。
【第3部】「残す」場合に必要なことと落とし穴
空き家を「残す」選択をする場合は、以下のポイントを押さえておく必要があります。
残す=住む/貸す/保有する
1.将来誰が住むかを明確にする
→ 子ども・孫・親戚などが実際に住む可能性があるか話し合う
2.賃貸に出す準備をする
→ リフォーム・耐震・設備のチェックが必要
→ 世田谷区では「空き家活用支援制度」あり
3.所有者としての義務を理解する
→ 管理責任(庭木・建物の劣化・防犯対策)
→ 火災保険の継続、近隣からの苦情対応など
【落とし穴】
・固定資産税がかかり続ける(住宅用地特例が外れると税額6倍も)
・管理不全で「特定空き家」に指定されるリスク
・将来的に売りにくくなる(老朽化・再建築不可物件になる等)
・世田谷区役所では「空き家実態調査」も定期的に行われており、放置リスクは年々高まっています。
【第4部】判断基準として使える「5つのチェックリスト」
「売るか?残すか?」の判断をするためのチェック項目をまとめます:
・ 空き家の築年数は何年?
→ 旧耐震基準(昭和56年以前)かどうかで再利用価値が大きく変わる
・ 場所は人気エリアか?利便性は?
→ 駅徒歩圏・再開発地域などは価値が維持されやすい(例:成城、奥沢、三軒茶屋)
・ 維持費はどのくらいかかっている?
→ 固定資産税・火災保険・庭の手入れ・防犯対策など
・ 相続人全員の意向は一致している?
→ 兄弟で揉めている場合は早めに専門家に相談
・ 将来の活用プランは現実的?
→ 「いつか住むかも」より、「何年後に誰が住む」が明確かどうか
このチェックリストをもとに、「今残す理由があるのか?」「10年後にどうなるか?」を家族で話し合うことが重要です。
【第5部】世田谷区で空き家を扱う際のサポートと相談先
【行政のサポート体制】
・世田谷区 空き家対策担当課
→ 空き家相談窓口あり、無料アドバイスも受けられる
・空き家活用支援制度
→ 貸し出し前の改修支援や空き家バンクへの登録が可能
・老朽家屋等除却費助成
→ 解体に関する費用助成制度(条件あり)
【専門家に相談すべきケース】
・兄弟間で意見が分かれている
・名義が亡くなった親のままになっている
・売却や賃貸に税金がかかるか不安
・不動産が再建築不可や旗竿地など複雑な形状
→ 世田谷区には、相続と空き家に詳しい司法書士・税理士・宅建業者が多数。
特に「地域密着型の不動産会社」は、現地事情をよく理解しており、適正なアドバイスが期待できます。
「決断を先延ばしにしない」ことが最大の空き家対策
空き家を「売る」か「残す」かは、感情と現実の間で揺れる難しい判断です。
世田谷区のように高い資産価値を持つ地域では、どちらを選んでも一定のメリットがありますが、
問題は「判断せずに放置してしまう」こと。
放置の先にあるのは
・資産価値の低下
・修繕コストの増加
・税金の無駄払い
・家族間トラブル
だからこそ、今「どうするか」を決めるために、次のステップを踏みましょう:
・ 空き家の状況を正確に把握する
・ 家族で話し合いを持つ
・ 世田谷区の支援制度を確認する
・ 専門家と一緒に判断材料を揃える
空き家は「持っているだけ」では資産になりません。
今こそ、世田谷区という土地の価値を活かすか手放すかを、前向きに考えていきましょう。