① 判断能力がしっかりしているからこそ
相続対策は「意思決定」と「家族との合意」が必要です。
認知症になる前の60代は、自分の意思で決断し、実行できる貴重な時期です。

② 財産の整理ができる体力・気力がある
不動産の名義確認、評価額チェック、贈与の手続きなど、やるべきことは多く、
70代以降になると体力的・精神的に負担が増します。

③ 子ども世代と協力しやすい
子どもが30〜40代となり、「相続」を意識し始める頃。
話し合いのタイミングとしてもベストです。

特に世田谷区では、「実家をどうするか」「土地を分けるか活かすか」といった不動産相続の相談が増えており、
60代での準備が、安心相続への第一歩となります。

世田谷区は東京23区の中でも相続税の課税対象となる割合が非常に高いエリアです。
その理由はずばり「地価の高さ」にあります。

◆路線価の目安（2024年参考）

・成城エリア：1㎡あたり60〜85万円

・三軒茶屋エリア：1㎡あたり70〜90万円

・深沢・弦巻：1㎡あたり50〜65万円

例えば、土地100㎡を持っているだけで評価額は7,000万〜9,000万円クラスになることも。
建物の価値や現金・株式を加えれば、**相続税の基礎控除（3,000万円＋法定相続人×600万円）**を超えるのは時間の問題です。

「うちは現金はそんなにないから大丈夫」という考えは、世田谷区では通用しません。
むしろ、「資産の多くが不動産」という方こそ、対策が必要なのです。

ここからは、具体的に世田谷区の60代が取り組むべき対策を紹介します。

ステップ①：財産の棚卸しをする
まずはご自身の財産がどれだけあるかを「見える化」しましょう。

・土地・建物の評価（固定資産税通知書や路線価をもとに）

・預金・証券・保険の残高

・借金やローンもマイナス資産として記載

※世田谷区内の不動産については、区役所資産税課で「評価証明書」を取得可能です。

ステップ②：小規模宅地等の特例を使えるかチェック
居住用や事業用の土地は、一定の条件を満たすことで最大80％評価減の特例があります。
世田谷区の戸建て住宅でも、住み続ける人がいるか・別居しているかなどで適用の可否が変わります。

ステップ③：配偶者控除・二次相続を見据えたプラン作成
配偶者は相続税が最大1億6,000万円までは非課税ですが、それだけを当てにすると、
配偶者が亡くなった際（＝二次相続）に子どもに重い税負担がかかることもあります。

→ 60代で「一次」「二次」の両方を見越した資産配分が必要です。

60代のうちから始めることで効果が高いのが、「生前贈与」と「家族信託」、そして「遺言書」の3つです。

◆生前贈与のポイント

・暦年贈与：年間110万円までは非課税

・教育資金贈与・結婚子育て資金の一括贈与などの特例も活用

・不動産贈与は登記費用・贈与税がかかるため注意

◆家族信託の活用

・世田谷区の地主層・アパート経営者に人気

・認知症リスクに備え、財産の凍結を防げる

・柔軟な管理運用と節税効果を併せ持つ

◆遺言書の作成

・公正証書遺言が安全確実

・「自分の意思」を文書で残すことで、トラブルを未然に防げる

・世田谷公証役場（三軒茶屋・経堂）で作成可能

これらを組み合わせることで、相続税・財産管理・家族間のトラブル回避すべてに効果を発揮します。

◆世田谷区が実施する主な支援制度（2024年版）

・「相続登記無料相談会」（司法書士会協力・年数回開催）

・「高齢者あんしん相談室」（家族信託・遺言の相談対応）

・「地域包括支援センター」：介護・財産管理に関する窓口

◆専門家に相談するメリット

・世田谷区の相続に強い税理士・司法書士・不動産会社は以下の点で頼りになります

・路線価の評価に詳しい

・地元事情（私道・接道・建ぺい率）を熟知

賃貸物件・アパート経営の継承にも精通

特に、**“区内に土地・家があり、相続人が都外に住んでいる”**という典型的なケースでは、
地元専門家の「実務力」が相続手続きの成否を左右します。