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親から相続した借地権の売却

  • 2022.07.25
  • カテゴリ: 不動産相続コラム

それではあなたが親から相続した世田谷区の借地権の実家を売却したい場合について、考えていきましょう。

相続した借地権の査定方法

 借地権の査定はそう簡単ではありません。なぜなら借地権は、一般的な流通事例も少なく限られたマーケットの中でしか売買されないケースが多いからです。借地権取引の多いエリアであれば、ある程度目安となる相場を調査することもできますが、借地権を第三者に売却するためには地主さんの承諾が必須となります。よって、仮に売買価格の目安がわかったとしても、地主さんの意向によっては、第三者への売却の検討ができない場合もあります。
 
 ちなみに路線価図に出ている借地権割合から算出する借地権評価額は、時価とは言えません。

 借地権評価額は、あくまでも相続税や贈与税を計算するときに使われるためだけのものと理解してください。例えば、地主さんに対して、借地権を買い取ってもらう交渉をするときに、借地権割合を多少考慮することはあっても、それが絶対ではありません。借地権割合(通常の住宅地の場合だと、60~70%のことが多いです)は、地主さんが持つ権利割合よりも高いことが多いので、それをベースにして地主さんに話を持ち掛けると、地主さんのへそを曲げることになり、話を聞いてくれなくなってしまうこともよくあります。

 ですから借地権の価格算定や売却実務については、借地権取引の実務経験が豊富な不動産会社に依頼することをお勧めします。

相続した借地権の売却にかかる費用

 世田谷区で相続した借地権の売却にかかる主な費用としては以下のものが挙げられます。

【必ず発生するもの】
・仲介手数料
・契約書に貼付する印紙代
・相続登記費用(相続で取得した場合)
・抵当権抹消費用(負債がまだ残っている場合)
・残置物の撤去費用

【契約条件によっては発生するもの】
・地主さんへの譲渡承諾料(借地権評価額の10%程度)
・建物解体費用
・確定測量、分筆費用(等価交換の場合)

【その他】
・譲渡所得税

相続した借地権の売却方法

 世田谷区で相続した借地権の売却を検討するのであれば、最初にアプローチすべきところは地主さんです。それは、前述したとおり、借地権売却のためには地主さんの譲渡承諾が必須となるからです。
 
 ただ、何も考えなしに地主さんのところへ譲渡承諾の話をしに行くのは無謀です。それは地主さんによって、話をしに行った時のリアクションが全く違うからです。もしかしたら地主さんが買い取りたいと言ってくるかもしれませんし、すんなりと第三者への譲渡承諾をしてくれるかもしれません。逆に買取ること譲渡承諾を出すことも絶対にしないという地主さんもいます。
 ですから、地主さんの性格や資産の状況、今までの関係性、過去に他の借地人に対してどう対応してきたのかを参考にした上で、地主さんのところに行く前に綿密なアプローチプランを練る必要があります。
 
 実際のところ、地主さんが一般個人の方の場合は、どのようなリアクションがあるかはなかなか読みにくいものがあります。またお寺が地主さんの場合は、借地権に対しての一定のルールが決められていることが多いので、まずはそのお寺のルールを確認してみましょう。財務省(国)が地主さんの場合には、手続きに多少時間を要しますが、第三者への譲渡承諾を出してもらうことができます。

 ちなみに借地権の売却(処分)には以下の方法が考えられます。

・地主さんに買い取ってもらう
 一番シンプルな形です。建物の解体が必要な場合の費用はどうするのか、いくらで買い取ってもらえるのかなど交渉が必要です。借地権価格をベースに話をもっていくと、交渉が決裂してしまう可能性が高いので、不動産会社とよく相談をして価格を決めたほうがいいでしょう。

・地主さんと等価交換をする
 あなたの所有する借地権と、地主さんの所有する底地権を交換して、それぞれが所有権の土地となるようにする方法です。
 確定測量や分筆、建物の解体などが発生するため、費用が多少かかります。この費用分担をどのようにするのか、また土地の形や大きさ、道路の接道条件(角地など)によって、どのような大きさで土地を分割して交換するのかは地主さんとの交渉が必要です。
 所有権となって取得した不動産は、あなたが売ることもできますし、建物を建てて住むこともできます。所有権になりますので当然、地代や更新料は今後一切かかりません。ただし、土地の固定資産税はかかるようになります。

・第三者へ売却をする
 地主さんの承諾が得られれば第三者への売却が可能となります。エリアにもよりますが、借地権ですので一般個人の方が購入者となることは稀で、不動産会社が購入者となるケースが多いです。その場合は入札が有効になります。地主さんに対しては、借地権価格の10%程度の譲渡承諾料を支払うことになる可能性が高いです。

・地主さんと一緒に、第三者へ売却する(同時売却)
 地主さんと一緒に第三者への売却活動を行う方法です。購入者は、底地と借地権を同時取得できるため、実質所有権を購入するのと同じことになります。ですので、売れる金額は、周辺で売られている所有権の土地相場に近いものとなります。ただし、地主さんとの価格按分については交渉が必要となります。他の方法と同様で、借地権割合に縛られず、柔軟に按分割合を決めていく気持ちが大事です。
 ちなみに地主さんが国(財務省)の場合は、同時売却をすることも可能です。財務省が底地価格を算出するまで2~3か月程度かかりますが、借地人は実際に売れた金額から、財務省が算出した相続税評価額ベースの底地価格を差し引いた金額を手にすることができるため、地主さんが国(財務省)の場合で、売却完了までの時間に余裕があるようであれば、同時売却をお勧めします。

・地主さんが全く取り合ってくれない場合は・・・
 地主さんが買い取ってくれない、かつ譲渡承諾を出してくれない場合には結果的に借地人であるあなたは身動きが取れません。そのまま借地権として所有し続けるか、地主さんに借地権を返すかのどちらかということになります。
 「借地非訟事件」を起こして裁判所に地主にかわって譲渡承諾を出してもらう方法もありますが、これには費用と結構な時間がかかります。また仮に「借地非訟事件」を起こして譲渡承諾が得られたとしても、地主さんが担保承諾を出してくれなければ、購入希望者は購入にあたってローンを組むことができません。また過去に地主さんとトラブルがあった借地権として見なされることにもなるので、売れたとしても、かなり金額を叩かれてしまうことも多いです。ですから、私個人的には「借地非訟事件」を起こすことは、あまりお勧めはしていません。

相続した借地権の売却の流れ

 世田谷区で相続した借地権を売却で進めていく場合に、売主さんに登場していただくタイミングは、以下となります。

 ・不動産会社との媒介契約締結時
 ・地主さんへのアプローチ方法の検討時
 ・地主さんへアプローチをするとき(状況に応じて)
 ・地主さんへのアプローチ結果の報告時
 ・入札結果の報告時(入札をする場合)
 ・買主との不動産売買契約締結時
 ・引渡し

 不動産売買契約の締結は、売主側または買主側の仲介業者の事務所で行うことが一般的です。所要時間は1時間~2時間程度です。仲介業者が作成をした不動産売買契約書、重要事項説明書、その他必要書類等に署名捺印(捺印は認印でOK)をして、手付金を受領すれば売買契約は完了となります。手付金の金額は売買金額の5~10%程度が一般的です。

 引渡しは買主が融資を受ける銀行で行うことが一般的です。司法書士同席のもと、売主・買主のそれぞれの本人確認を行い、売買残代金および精算金(固定資産税、管理費、修繕積立金など)が売主の指定した口座に振り込まれます。口座への着金が確認できたら、鍵や必要書類、領収書を買主に渡して、引渡しは完了となります。引渡しのことを「決済」とも呼びます。所要時間は1時間~2時間程度です。月末の場合や、利用する金融機関によっては着金の確認まで時間がかかることがあります。最近はネットバンキングを利用するケースも多いので、その場合は30分程度で完了することもあります。

相続した借地権を売却するにあたって用意しておきたい資料、書類など

・査定を依頼するにあたってご用意いただきたいもの
□ 最新年度の固定資産税の課税明細書
□ 建物の図面(あれば)
□ 地主さんとの土地賃貸借契約書

・媒介契約締結時にご用意いただきたいもの
□ 認印
□ 購入時の売買契約書や重要事項説明書(あれば)

・不動産売買契約締結時にご用意いただきたいもの
□ 認印
□ 顔写真付き身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
□ 印紙または印紙代

・引渡し時にご用意いただきたいもの
□ 認印、実印
□ 印鑑証明書
□ 顔写真付き身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
□ 権利証または登記識別情報通知書
□ 建物の図面(あれば)
□ 地主さんとの土地賃貸借契約書
□ 鍵

※購入時の売買契約書があると、譲渡所得税の申告の際に有利になる可能性があるため、探しておくことをお勧めします。
※権利証や登記識別情報通知が万一、手元に見当たらない場合は、再発行ができないため、司法書士に依頼しなくてはならない手続きが出てきますので、早めに確認をされることをお勧めします。
※登記簿謄本や公図は一般的には不動産会社で取得することが多いので、ご用意していただかなくても大丈夫です。
ポイント
・借地権の売却はそんなに簡単ではない。まずは借地権の実務経験が豊富な不動産会社に相談を。
・地主さんとの交渉の際には、借地権割合に縛られてはいけない。地主さんの機嫌を損ねると全てがうまくいかなくなる
・借地権の売却(処分)方法には、地主さんに買い取ってもらう、等価交換をする、第三者に売却する、同時売却をするなど様々な方法がある
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