コラム
相続のことは誰に頼めばいい?
- 2022.06.17
- カテゴリ:
不動産相続コラム
親に相続が発生して、誰に相談していいのかが全くわからないあなた。
相続の相談先は銀行?税理士?司法書士?行政書士?弁護士?それとも不動産会社の人?・・・
ここでは相続に登場する各専門家の特徴や相続での役割分担を簡単に解説しながら、まずはあなたがどこに相談すべきかをアドバイスします。
相続に関する各専門家の特徴や役割分担
◆信託銀行
・親が信託銀行と「遺言信託」の契約をしていた場合は、その信託銀行が遺言執行者となり、その後の相続の手続きを全て行ってくれます。ただし、財産額の大きさに応じた、決して少なくない手数料が発生します。
◆税理士事務所
・おもに相続税の申告をします。
・相続人間同士の遺産分割協議などのお手伝いをします。
相続税の申告が必要そうな方(相続財産が基礎控除額以上にありそうな方)は、税理士事務所に依頼をすれば、相続税の申告だけでなく、相続全般に関わる手続きは、窓口として大抵やってくれると思います。
ただし注意すべき点は、税理士事務所でも「相続」を専門で扱っている税理士事務所とそうでない事務所があることです。
当然、「相続」を専門で扱っている税理士事務所に依頼した方が、依頼後の流れもスムーズですし、特に不動産を複数保有している親が亡くなった場合には、相続専門の税理士事務所に依頼をしたほうがいいです。なぜなら、不動産の相続税上の評価額は、自己申告による評価となるため、担当する税理士の腕によって大きく変わるからです。
「相続」専門の税理士事務所のほうが、不動産の評価に対する知識・経験・ノウハウをたくさん持っているため、相続税申告上、依頼者にとって有利になる可能性が高いです。
(不動産は財産の中でも最も大きなウエイトを占めるので、相続税の申告では不動産の評価の方法がとても重要になります)
ですから、相続に関しては税理士事務所が、まずは一番の相談先になりえます。
◆司法書士事務所
・おもに相続の登記(相続による不動産の所有権移転)をします。
・遺産分割協議書などの書類を作成します。
◆行政書士事務所
・相続手続き全般のサポートをしてくれます
◆弁護士事務所
・遺産分割で揉めるなど、おもに相続でトラブルになった場合に登場します。
◆相続コンサルタント、ファイナンシャルプランナーなど
・相続全般の窓口やコーディネート業務を行います。
相続税の申告が必要ないと思われる場合は、税理士事務所に依頼する必要性はなくなります。そうなると上記に記載した税理士事務所以外の士業事務所等でも相続手続きの窓口をしてくれるところがあります。また司法書士や行政書士、弁護士は相続税の申告は行わないため、もし相続税の申告が必要となる場合は、それぞれが連携している税理士事務所と一緒に対応してくれることになるでしょう。
ちなみに、こうした士業事務所の中でも税理士事務所同様で「相続」を専門で扱っている事務所とそうでない事務所があります。当然、「相続」を専門で扱っている事務所に依頼をしたほうが、スムーズに進みますし、依頼者にとってはメリットがあると思います。
◆不動産会社
・相続した不動産の今後についての提案をしてくれます。
・不動産を売却したり、人に貸したりする場合に、その査定や仲介業務を行います。
世の中の不動産会社は、一般的には「相続」についてあまり詳しくはありません。また、ほとんどの不動産会社は、どれだけ効率よく多くの利益を上げるかということが仕事の一番の目的となっていることが多いので、お客様の方を向いて仕事をしていないケースも多々見受けられます。不動産営業マンは毎月決められた厳しい売上げノルマをこなさないといけないのです。ですから、相続した不動産のことを依頼する不動産会社・不動産営業マンの見極めはとても重要になります。
まずはどこに相談すべきか?
ざっと相続に登場する専門家や会社の特徴をお伝えしましたが、結局、どこに相談をすればいいのかというのは、なかなか判断しにくいですよね。ですので、私からアドバイスをさせていただくとすれば、とにかく税理士でも司法書士でも不動産会社でも、あなたが「一番信頼のできる先(信頼ができると思う先)」にお願いをしてほしいなと思います。
では「一番信頼のできる先(信頼ができると思う先)」はどうやって見つけるのでしょう?
例えば、相続を経験したことのある信頼のできる知人や友人から紹介をしてもらうことでもいいでしょう。あなたが信頼している人からの紹介であれば、信頼できませんか?
信頼のできる相続の相談先を見つけるためのチェックポイント
全く伝手がなくて自分で探さなくてはいけない場合は、以下のような項目でチェックをしながら、探してみてはいかがでしょうか?
□ 無料相談や問い合わせの中で、こちらの要望や質問に対して、その場で的確に回答をしてくれるか?
□ ホームページ等で相続が専門であることを全面的にPRしているか?
□ 相続の実務経験はたくさんありそうか?
(相続の実務実績や過去に相続に関するセミナー・出版実績などがあるかをホームページ等でチェック)
□ 相続の実務に対する明確な料金表や料金プランはあるか?
□ 実際に話をしてみて、自分と相性が合うか?
ちなみに、あなたは税理士なら誰でも「相続」のことに詳しいと思っていたりはしませんか?例えば、お医者さんの専門に「内科」や「外科」があるように、税理士事務所にも「法人税」や「相続税」などのそれぞれ専門分野があり、税理士だからと言って、すべての税務に精通しているわけではありません。またいつ発生するかわからない「相続」に特化した税理士事務所は実は世の中には少ないのです。
ですから、あなた自身の目や感覚で、相続の相談先の見極めを行うことがとても大切なのです。
ポイント
・相続の相談窓口は、自分が一番信頼をおける相手を選ぶ
・相続税の申告がありそうな場合は、まずは税理士事務所に相談するのがベター
(ただし、税理士事務所の中にも相続が得意な事務所とそうでない事務所がある)
・自分自身の目や感覚で、相続の相談先の見極めを行うことが大切