コラム
不動産評価のプロに聞く、相続のチェックポイント 〜世田谷区の相続で「損をしない」ために知っておくべきこと〜
- 2025.08.09
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不動産相続コラム
親から不動産を相続することになったとき、ほとんどの方が驚くのが「評価額」によって相続税が大きく変わるという事実です。
特に世田谷区のような人気住宅地では、不動産の評価額が数千万円から億単位になることも珍しくありません。
そしてこの「評価額」、実はプロの目で見直すことで大きく変わることがあります。
この記事では、世田谷区で不動産を相続した方が損をしないために、
「不動産評価のプロ」がチェックしている5つのポイントを詳しくご紹介します。
【第1部】世田谷区の不動産相続が特別むずかしい理由
世田谷区は、東京都内でも特に「土地の形・接道・用途地域」が複雑なエリアです。
評価の際にも、一般的な相続とは異なる判断が必要になります。
■ 用途地域や建ぺい率の違い
同じ「住宅地」でも、奥沢・成城・等々力などでは建築規制や容積率が異なり、
評価額に直接影響を及ぼします。
■ 接道条件と間口の評価
私道に接しているか、公道に2メートル以上接しているかで評価が激変するケースもあります。
特に三軒茶屋や下北沢など狭小地が多いエリアでは注意が必要です。
■ 小規模宅地等の特例が適用できるか
世田谷区では地価が高いため、小規模宅地の特例(330㎡まで評価額80%減)は極めて重要です。
「同居の有無」や「自宅利用の実績」で適用の可否が分かれるため、見落とすと数百万円の損失も。
【第2部】プロが注目する「土地」のチェックポイント5つ
1.形状・間口・奥行き
→ 不整形地や旗竿地であれば、評価額が下がる可能性あり。
2.接道状況と道路の種別
→ 私道・公道・建築基準法上の道路かどうかで大きな差が出ます。
3.用途地域と容積率
→ 商業地域に隣接しているか、将来的に開発可能かなども評価に影響。
4.近隣との高低差や擁壁の有無
→ 崖地や擁壁があると、利用制限が生じる場合があります。
5.近隣の売買事例や路線価とのズレ
→ 世田谷区内では実勢価格と路線価に差がある場所も多く、
実態に即した評価をするには、相場の把握が必要です。
【第3部】建物評価の盲点と減額要素
建物の評価は、築年数と構造だけでなく、
実際の使用状況や損耗の程度によっても変わってきます。
■ 木造築30年以上は「評価ゼロ」扱いも
世田谷区内には築40年以上の木造住宅が多数ありますが、
場合によっては建物の評価をゼロとすることも可能です。
■ 長期未使用による減価
空き家として5年以上使われていなければ、
室内の傷みや設備劣化による減価要素が加味されることがあります。
■ シロアリ・雨漏り・傾きの有無
実際にプロが現地調査することで、評価額の引き下げが認められる事例もあります。
【第4部】実際の評価見直しで変わった世田谷区の相続事例
● ケース1:評価額が1億→7,000万円に
祖父から等々力の土地を相続したAさん。
税理士が評価したままだと1億円超でしたが、不動産鑑定士に依頼し、
「接道条件」「擁壁」「間口の狭さ」を加味して見直しを実施。
結果、評価額が3,000万円下がり、相続税が600万円軽減されました。
● ケース2:建物評価ゼロで特例適用
上馬の築45年木造住宅を相続したBさん。
登記上は残っていたものの、実際には居住不可状態。
「建物評価ゼロ+小規模宅地等の特例適用」により、
課税対象から大幅除外できたことで、相続税が発生せずに済みました。
【第5部】相続前にできる「不動産評価」チェックリスト
・土地の形や間口は標準的か、不整形か
・接道は公道か私道か(幅員と接道長さ)
・建物の築年数と構造を確認したか
・小規模宅地の特例が使える条件を満たしているか
・路線価と実勢価格の差を確認したか
・擁壁・段差・高低差の有無を現地で確認したか
・空き家期間が長く、減価要素が認められそうか
・プロ(税理士・不動産鑑定士)に事前相談したか
このチェックリストは、評価額の見直しによる節税対策だけでなく、
「事前にやっておけばよかった…」という後悔を減らすためにも有効です。
プロの視点で評価すれば、相続は変わる
世田谷区のように、地価が高く不動産の特性が多様な地域では、
「評価のされ方」で相続税が大きく左右されます。
自分では分からない「土地のクセ」「建物の劣化」なども、
不動産評価のプロであれば的確に見抜き、適正な評価を導き出してくれます。
「うちの家はそんなに高くないから大丈夫」と思っていても、
調べてみたら高評価で、慌てて納税対策を考える……というのが、よくある流れです。
相続が発生してからではなく、相続前の“今”こそ準備のタイミングです。
まずは一度、不動産の専門家や相続に強い税理士に相談してみましょう。