コラム
土地の境界が不明なときの相続対策(世田谷区編)
- 2025.07.23
- カテゴリ:
不動産相続コラム
相続で不動産を引き継ぐ際、多くの方が気づかない“見えないリスク”の一つが、「土地の境界が不明確」という問題です。特に都市部の住宅密集地である世田谷区では、古い境界杭の紛失や図面とのズレなどから、隣地とのトラブルが起きやすくなっています。
「なんとなくこの辺がうちの土地」では通用しないのが、相続の現場です。
相続した土地の価値を守るためには、境界の確認と適切な対策が不可欠です。
今回は、世田谷区における「境界不明土地」の相続対策を、5つの観点から解説します。
【第1部】なぜ境界が不明だと問題なのか?
■ 相続後のトラブル例(世田谷区)
・相続した土地にリフォームをかけようとしたら、隣地の方と「境界線が違う」と主張が食い違い工事中断
・境界線の誤認で越境して塀を作っていたことが判明し、撤去・再施工が必要に
・遺産分割協議で「どこまでが対象不動産か」が争点となり、協議が頓挫
■ 法的にも不利になりやすい
境界が曖昧なままでは、登記内容と現況に食い違いが生じやすく、買主・金融機関から敬遠されます。また、売却や担保設定も難しくなります。
【第2部】境界不明になりやすい土地の特徴とは?
■ 世田谷区内の典型パターン
・昭和40年代以前に建てられた住宅地(古い区画整理前の土地)
・私道・旗竿地など入り組んだ地形
・境界杭が埋設されていない、または紛失している
■ 地図と現況が一致していないケース
・公図や地積測量図と現地の塀・フェンスの位置が合っていない
・登記簿の面積と実測面積が大きく異なる
こうした条件に該当する土地では、相続時に「境界確定」を行うのが望ましいです。
【第3部】境界を確認するためにやるべきこと
■ 資料収集から始める
・法務局で登記簿・公図・地積測量図を取得
・土地家屋調査士や不動産業者に現地確認を依頼
■ 境界確定測量を検討
・隣地所有者との立会いが必要
・測量図作成には費用(30万円〜100万円前後)が発生
・測量後は「筆界確認書」や「境界確認図」を取得
■ 世田谷区のサポート
・地籍調査が行われた区域は、区役所に記録あり
・空き家対策課などが無料相談を行っていることも
【第4部】境界問題を未然に防ぐ相続対策
■ 遺言書に明記しておく
・「土地Aについては○○が相続する」など、具体的に記載
・測量図を添付すればなお安心
■ 生前に測量・境界確定を済ませておく
・被相続人が元気なうちに対応すれば、隣地所有者との交渉もスムーズ
・費用も分割協議後より低く抑えやすい
■ 土地を共有にしない
・複数人での共有は境界トラブルを複雑化させる元凶
・分筆や売却なども困難に
【第5部】境界不明の土地を相続するときのチェックリスト
・ 境界標が現地に存在しているか?
⇒ コンクリート杭や金属プレートが残っているかを現地確認。
・ 隣地所有者との境界認識に食い違いはないか?
⇒ 過去の話し合い履歴やトラブルの有無を確認。
・ 登記簿や公図と現況にズレはないか?
⇒ 法務局で最新の登記情報・公図を取得し、照合。
・ 測量図は存在するか?
⇒ 売買や建築時の確定測量図や現況測量図の有無を確認。
・ 境界確定を依頼すべきか?
⇒ 土地家屋調査士など専門家に「確定測量」を依頼する必要があるかを判断。
・ 世田谷区役所・法務局への相談は済んでいるか?
⇒ 土地利用の履歴や、地域特有の指導要綱がないか確認。
・ 相続人間で境界問題の対応方針は共有できているか?
⇒ 境界確認にかかる費用や期間を含め、認識の統一が必要。
【まとめ】「境界線」は見えないトラブルの元
世田谷区という住宅密集地では、わずか数十センチの境界ずれが、大きな相続トラブルに発展する可能性があります。
境界が曖昧なままの土地を相続することは、将来にわたる不安を背負い込むことと同じです。
「たぶんこの辺がうちの土地」ではなく、
「ここがうちの土地」と言える根拠をもって、相続を迎えましょう。
迷ったときは、世田谷区の専門家や役所の相談窓口をぜひご活用ください。