コラム
建物の評価額はどうやって決まるの? 〜世田谷区で不動産相続を考える方へ〜
- 2025.07.01
- カテゴリ:
不動産相続コラム
世田谷区で不動産を相続する方にとって、土地の価格だけでなく「建物の評価額」も相続税の計算に大きな影響を与えます。特に築年数の古い一戸建てや、相続後に使用されていない建物については、「どれだけの価値があるのか」を明確にすることが大切です。
この記事では、「建物の評価額はどうやって決まるのか?」という疑問に答えながら、世田谷区で実際に相続対策を考える方に向けて、評価の仕組みやポイント、注意点をわかりやすく解説します。
【第1部】建物評価額の基本とは?〜3つの評価基準〜
建物の評価額は、用途や状況によって評価方法が異なります。相続税評価の場合、主に「固定資産税評価額」がベースとなります。
■ 評価の基準は3つ
1.固定資産税評価額(相続税の基本)
2.実勢価格(市場で売れる価格)
3.再調達価格(建て直す場合の費用)
相続税の申告では、固定資産税評価額を用いるのが原則です。毎年4〜6月ごろに送られてくる「課税明細書」で確認できます。
■ 世田谷区では評価額が高め?
・木造住宅でも敷地が広ければ評価額は高くなる
・世田谷区役所では評価額証明書を発行可
【第2部】築年数と構造が与える影響
建物の評価額は、築年数や構造によって大きく異なります。世田谷区では古い木造住宅も多く、「思っていたより評価が低い」または「意外に高い」と驚かれるケースもあります。
■ 減価償却が進んだ建物は評価が低くなる
・木造:約22年、鉄筋コンクリート:約47年で原価償却
・築30年以上は価値ゼロに近いと判断されることも
■ 例:世田谷区内の木造戸建
・築40年でも、リフォーム履歴があればある程度評価される
・建物が倒壊リスクを抱えていると、評価は一層下がる
■ 実態よりも高い評価がつくことも?
・固定資産評価額は実勢価格とは異なるため、「売ろうとしても売れないのに税はかかる」という現象も
【第3部】評価額の確認方法と取得手順(世田谷区)
■ 固定資産評価証明書
・取得場所:世田谷区役所 資産税課または出張所
・必要書類:本人確認書類、登記事項証明書など
・手数料:1件あたり300円程度
■ 課税明細書(毎年4月頃送付)
・相続開始前の所有者に送られる
・内容:土地・建物ごとの課税標準額や用途区分
■ 建物図面・評価明細書(詳細が必要な場合)
・世田谷都税事務所で取得可能(法人資産など)
【第4部】相続税計算における建物評価の活用と注意点
相続税を計算する際、建物評価額の扱いには注意が必要です。特に、複数の相続人がいる場合や、不動産を共有で取得する場合など、トラブルの元になりかねません。
■ 相続税申告の計算式にどう使われる?
・建物の固定資産税評価額が、そのまま相続財産に加算される
・土地と建物を分けて評価する必要あり
■ 小規模宅地等の特例との関係
・建物自体には特例なし
・「居住用宅地」としての土地部分のみが対象
■ 評価額が高すぎると感じたら?
・不服申し立ても可能(固定資産評価審査委員会)
・減額理由があるなら早めに専門家と相談
【第5部】建物評価額の確認・管理 チェックリスト(世田谷区版)
・建物の固定資産税評価額を課税明細書で確認したか?
・固定資産評価証明書を世田谷区役所で取得したか?
・建物の築年数・構造を登記簿や評価明細書で確認したか?
・建物の減価償却年数(木造22年、RC47年など)を把握しているか?
・リフォーム履歴(修繕・耐震補強など)を記録しているか?
・建物の現在の状態(損傷・傾き・雨漏り等)を点検したか?
・相続税試算時に建物評価額を正しく含めたか?
・固定資産税評価額と実勢価格の差を把握しているか?
・小規模宅地等の特例の対象が建物でなく土地である点を認識しているか?
・評価額に疑問がある場合、税理士や不動産鑑定士に相談したか?
建物評価額を「知らない」まま相続しない
世田谷区のように不動産価値が高い地域では、建物の評価額が相続税に及ぼす影響も小さくありません。
築古だから価値がないと思っていても、評価上は金額が付いていたり、逆に実際は住めない状態でも税金が発生するケースも。
だからこそ、事前に確認しておくこと、そして正しく管理・申告することが重要です。建物の評価額を知ることは、相続対策の第一歩なのです。