コラム
相続登記義務化で何が変わる?対応方法とは 〜世田谷区の土地・建物を守るために必要な手続き〜
- 2025.05.31
- カテゴリ:
不動産相続コラム
「親が亡くなったけれど、とくに登記はしていない」
「名義は変えていないけれど、実際には自分が住んでいるから問題ないと思っていた」
こうした声は、世田谷区内の不動産所有者や相続人からも頻繁に聞かれます。
しかし2024年4月、相続登記が法律上の義務となったことで、その“放置”が罰則対象となる時代に突入しました。
特に地価が高く、相続対象になりやすい不動産が集中する世田谷区では、この影響が大きいといえるでしょう。
この記事では、**相続登記の義務化によって何がどう変わったのか?どんな対応が求められるのか?**を5つの視点でわかりやすく解説します。
【第1部】相続登記の義務化とは?世田谷区の不動産にも関係する新ルール
■ 義務化の概要
2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した場合、
相続登記を3年以内に申請することが義務となりました。
これまでは任意(やってもやらなくても罰則なし)だった相続登記が、
法律により「やらなければならない手続き」に変わったのです。
■ 対象になる不動産とは?
・戸建て住宅
・土地(宅地・農地・山林)
・収益物件(アパート・マンション)
・私道の持分
世田谷区内であれば、
・成城や用賀の戸建て
・下北沢の小規模アパート
・桜新町や三軒茶屋の私道持分を含む土地
などもすべて義務化の対象です。
■ 違反するとどうなるのか?
正当な理由なく相続登記を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
【第2部】なぜ義務化されたのか?世田谷区の“所有者不明土地”問題も背景に
■ 社会的背景:「所有者不明土地」の急増
全国的に問題となっている「所有者不明土地」。
これは、登記がされておらず持ち主が誰かわからない土地のことで、
日本全体の約20%、九州の面積に匹敵するとされています。
世田谷区でも、以下のような問題が起きています。
・私道や袋地の共有名義が放置されている
・昭和時代の名義のままで、現所有者が不明
・空き家の所有者がわからず行政も対応できない
■ 義務化の目的
・不動産の所有者を明確にし、適切な管理・利用を促す
・相続を放置せず、次の世代にスムーズに資産を承継させる
・トラブルや権利関係の複雑化を防ぐ
【第3部】どんな人が対象?世田谷区でよくある「義務化の対象者」事例
【ケース1】親が亡くなったが登記をしていない
→ 成城に住むAさん(長男)は、10年前に父親を亡くしたが、
土地建物はそのまま父名義。相続登記をしておらず、今回義務化の対象に。
◆ 対応:今からでも相続登記をすればOK。3年以内に手続きを。
【ケース2】相続人が複数いて遺産分割がまとまっていない
→ 桜新町にある実家の登記が父親のまま。兄弟3人で相続したが、分け方で揉めていて放置。
◆ 対応:遺産分割協議が未了でも「法定相続分による相続登記」が可能。
協議中でも登記申請をしておくことで過料リスクを回避できます。
【ケース3】知らずに期限を過ぎていた
→ 経堂にある空き家の相続に気づかず、すでに相続発生から3年以上経過。
◆ 対応:罰則対象にはなるが、悪質でなければ情状酌量の余地あり。
ただし、速やかに登記を行うことが重要。
【第4部】世田谷区で相続登記を進める具体的なステップ
ステップ①:まずは「法務局」で登記簿を確認
世田谷法務局(出張所)は桜新町にあります。
住所・地番が分かれば、現在の名義や登記状況を確認可能です。
ステップ②:戸籍をそろえる
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍・住民票
・印鑑証明書(遺産分割協議書を作る場合)
⇒ 世田谷区役所(本庁または出張所)で取得可能
ステップ③:必要書類をまとめる
・登記申請書
・遺産分割協議書(ある場合)
・固定資産評価証明書(世田谷区資産税課で取得)
・委任状(司法書士に依頼する場合)
ステップ④:法務局へ申請(自分で or 司法書士に依頼)
自分で申請することも可能ですが、
書類不備や記載ミスが多く発生するため、専門家への依頼が安心です。
【第5部】専門家をどう活用する?世田谷区ならではの連携方法
■ 司法書士
相続登記は司法書士の専門領域です。
世田谷区には相続専門の司法書士事務所も多く、無料相談会を開催しているところもあります。
用賀・三軒茶屋・成城に多数
「相続登記パック」や「遺言サポート」も対応可能
■ 税理士
相続税の課税が見込まれる場合は、同時に税理士のサポートも必要です。
土地の評価・特例適用などで、登記内容と税務申告の整合性を保つことが重要。
→ 世田谷区の税理士会所属の事務所で「相続税+登記」のワンストップ対応が可能な場合も
■ 行政の支援も活用
世田谷区役所主催の「相続・登記相談会」
地域包括支援センターでの高齢者向け説明会
法務省や世田谷区公式HPで申請サポート情報を提供中
登記は“義務”ではあるけれど、“家族を守る最善の方法”でもある
相続登記の義務化は、「罰則を課すため」ではなく、
大切な不動産を未来へスムーズにつなぐための法整備です。
世田谷区という地価が高く、資産価値のある地域では、
放置することで不動産の権利があいまいになり、
「資産」ではなく「負担」になってしまうリスクがより大きくなります。
◆今日からできる対応チェックリスト
・ 不動産の登記簿を確認した
・登記名義が親のままになっていないか調べた
・相続人と話し合いの場を持った
・専門家に相談した(司法書士・税理士)
・期限内(3年以内)の登記申請の準備を始めた
“登記”は書類ではなく、“家族の未来をつなぐバトン”です。
世田谷区で安心して不動産を承継するために、
一歩を踏み出すタイミングは、まさに「今」です。