不動産評価額の調べ方と相続税への影響 ~世田谷区における資産と税金の“見えない関係”を明らかに~
- 2025.05.22
- カテゴリ:
不動産相続コラム
「現金は少ないけど、親が残してくれた家があるから安心」
「実家は世田谷区の住宅街にあるから、むしろ資産だと思っていた」
世田谷区で相続のご相談を受けていると、このような声をよく聞きます。
しかし実際には、相続税が思った以上に高額になるケースが後を絶ちません。
その理由は、“不動産の評価額”が想像以上に高いこと。
特に、土地や建物の評価額が相続税の計算に直結していることを知らないままでは、
「まさか、うちが相続税の対象になるなんて…」という事態になりかねません。
この記事では、**世田谷区の不動産を相続する前に必ず知っておくべき「評価額の調べ方」と「税金への影響」**を、5つの視点でわかりやすく解説します。
【第1部】相続税は“評価額”で決まる?その仕組みを知る
まず大前提として、相続税は「不動産の市場価格」ではなく、
“相続税評価額”をもとに計算されるという点を押さえておきましょう。
◆相続税評価額とは?
・土地は「路線価」または「倍率方式」によって評価
・建物は「固定資産税評価額」が使われる
たとえば、世田谷区三軒茶屋にある住宅用地100㎡の評価を例にすると
路線価が80万円/㎡の場合
100㎡ × 80万円 = 8,000万円(相続税評価額)
市場での売却価格が1億円だったとしても、相続税はあくまで路線価をベースに計算されます。
◆相続税の基本構造
課税対象額 = 遺産総額 − 基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)
この評価額によって、課税対象になるか、ならないかが分かれるのです。
つまり、「評価を正しく把握すること」が相続税対策の第一歩です。
【第2部】世田谷区での不動産評価額の調べ方5選
① 国税庁の「路線価図」を見る(無料)
https://www.rosenka.nta.go.jp
→ 地図上で世田谷区の各道路に対して設定された1㎡あたりの価格を確認可能。
たとえば:
成城6丁目:70万円/㎡
弦巻1丁目:62万円/㎡
用賀3丁目:75万円/㎡
【ポイント】
土地の形状や面積によって補正が必要。専門家の計算が必要なことも。
② 固定資産税評価証明書を取得する
→ 世田谷区役所の**資産税課(第2庁舎)**にて発行可能(手数料300円程度)。
・建物の評価額はこちらが基準
・相続登記や税申告に必要な場合が多い
③ 不動産会社による「時価査定」
→ 実勢価格の把握には不動産業者の査定も併用が効果的。
ただし、相続税とは評価基準が異なるため注意が必要。
④ 評価明細書を専門家に依頼して作成
→ 路線価、補正率(間口・奥行・がけ地等)を考慮した詳細な評価が可能
世田谷区の相続に詳しい税理士や土地家屋調査士に依頼するケースが一般的
⑤ 相続シミュレーションツールを使う
→ 国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」などオンラインで試算できるサービスも増加中
【第3部】評価額によって相続税はここまで変わる!世田谷区の具体事例
実際に、評価額によってどれほど税金が変わるのか?
世田谷区の実例をもとに見ていきましょう。
事例:世田谷区砧にある住宅用地 120㎡
・路線価:70万円/㎡
・建物の固定資産評価:1,000万円
・相続人:子ども2人
→ 土地評価額:70万円 × 120㎡ = 8,400万円
→ 合計:8,400万円+建物1,000万円=9,400万円(相続財産)
基礎控除:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
課税対象:9,400万円 − 4,200万円 = 5,200万円
→ 相続税額:約800〜1,000万円(概算)
ここで「小規模宅地の特例」が使えれば?
居住用土地330㎡まで→評価額80%減!
→ 土地評価:8,400万円 → 1,680万円
→ 合計評価:1,680万円+1,000万円=2,680万円
→ 基礎控除内で納税不要になる可能性も!
【世田谷区のポイント】
評価額が高くても、適切な特例の活用によって相続税ゼロも可能になります。
【第4部】評価を下げるために使える節税テクニックとは?
評価額を正しく出すだけでなく、評価額そのものを抑える工夫も重要です。
① 小規模宅地等の特例(最大80%減)
・一定の居住要件・同居要件あり
・世田谷区では、2世帯住宅や同居親族がいるケースが多く、この特例が使える確率が高い
② 土地の形状補正を使う
・奥行が短い/間口が狭い/がけ地/不整形地などの補正率が適用される
→ 評価額10〜20%ダウンも可能
③ 利用価値が低い土地にする(借地・貸宅地)
・誰かに貸している土地(貸宅地)は評価が30〜50%程度に下がる
→ 世田谷区で地主の方に有効な節税策
④ 建物の減価償却を活用
・建物は年数に応じて評価額が減少
→ 固定資産評価額がすでに低ければ、課税対象としては軽くなる
【専門家の力を借りるメリット】
→ 路線価補正や特例適用は、自己判断が難しく、税理士・司法書士などの伴走が効果的です
【第5部】世田谷区で相続税の心配があるなら、今すぐやるべき3つのこと
① 現在の評価額を「自分で調べてみる」
・路線価マップを見る
・固定資産税通知書を確認する
・評価証明書を取得する
→ 世田谷区内であれば第2庁舎(太子堂)で手続き可能
② 無料相談を活用する
・世田谷区の司法書士会・税理士会では定期的に相続・不動産相談会を実施中
・地元の不動産業者にも「相続特化スタッフ」が常駐していることが多い
③ 家族で「相続の全体像」を共有する
・誰がどこに住むのか?
・実家を売るか、貸すか、継ぐか?
・相続税を誰が払うか?
→ 評価額をもとに、**「誰が、何を、どう負担するのか」**を話し合うことが大切です。
評価額の“見える化”が、安心相続のスタート地点
世田谷区の不動産を相続する際、「うちは大丈夫」と思っていても、
評価額を調べてみたら…相続税の対象になっていた、というケースは少なくありません。
しかし逆に、評価を正しく把握し、制度を活用すれば、税金は減らせます。
最後に押さえておきたいポイント
・ 相続税は市場価格ではなく「評価額」で決まる
・ 世田谷区の不動産は地価が高く、課税対象になりやすい
・ 路線価や固定資産評価を自分で調べることができる
・ 特例や補正で評価額を下げることも可能
・ 専門家と連携して、早めに対策するのがベスト
相続税に“備える”のではなく、“整える”。
それが、世田谷区で大切な財産を安心して未来につなぐための第一歩です。