コラム
小規模宅地の特例とは?
- 2022.06.12
- カテゴリ:
不動産相続コラム
自宅や賃貸アパートの敷地の相続税評価額が、ある一定の面積までなら減額される制度があります。
この特例を「小規模宅地の特例」と言います。
今回は「小規模宅地の特例」の中でも自宅で使われる「特定居住用宅地」の特例について説明します。
小規模宅地の特例とは?
相続開始の直前において亡くなられた親の自宅に使われていた宅地で、親と同居していた親の配偶者や子供がその自宅を取得する場合は、330㎡の土地面積を限度として、80%の相続税評価額の減額を受けることができます。
これだけだと何を言っているのかイマイチわかりませんよね?
簡単に言うと、お父さんと一緒に同居していたお母さんまたはあなたが、その自宅を相続するときは、路線価で計算した土地相続税評価の80%割引で計算していいよ、という特別ルールのことです。
「同居している自宅に対して、高い相続税を払わなくてはいけないとなると、相続税支払いのためにもしかしたら自宅を売る必要性が出てくるかもしれません。そうすると同居していた家族の住む家がなくなってしまいます。それはあまりにも酷すぎるでしょう」ということで設けられている特例です。
ですから、親と同居している家族が自宅を相続するときには大幅な土地評価の割引を受けることができるのです。
小規模宅地の特例の計算方法
例えば、土地評価額4,000万円、建物評価額300万円の自宅で小規模宅地の特例を使う場合は以下のような計算式になります。
土地評価額4,000万円(A)+建物評価額300万円(B)=自宅相続税評価額4,300万円
ここで小規模宅地の特例が適用になると、土地の評価額が80%割引になります。
土地評価額⇒4,000万円-(4,000万円×80%)=800万円
よって小規模宅地の特例適用後の自宅の評価額は・・・
土地評価額800万円(A)+建物評価額300万円(B)=自宅相続税評価額1,100万円
どうでしょう?
小規模宅地の特例を適用した場合とそうでない場合では、とても大きな差があるとは思いませんか?この特例を適用することによって、親の相続財産が基礎控除内におさまることになり、相続税がかからなくなる家が実はとても多いのです。
逆に言うと、この特例を使わない場合(使えない場合)は、割引を受けることができないので要注意です。
小規模宅地の特例が使えないケース
あなたが既に持ち家を持っている場合で、あなたが親の自宅を相続する場合には、この特例は使えません。
あなた以外に親と同居しているあなたの兄弟がいて、その兄弟が親の自宅を相続する場合には、この特例を使うことができます。
また、あなたが家を持っていない(現在、賃貸アパートや賃貸マンションに住んでいて、3年以上持ち家に住んでいない)場合で親の自宅を相続した場合は、「家なき子」として、小規模宅地の特例を使うことができます。
ですから、誰が親の自宅を相続するかにもよって、相続税の計算は大きく変わるのです。小規模宅地の特例の適用を受けるためには、申告書を提出する必要がありますので、しっかりと頭に入れておきましょう。
また最近は、相続が発生する直前に親が老人ホームにいて、親が自宅にいない状態(空き家)で相続が発生するケースがよくあります。
このケースでも小規模宅地の特例は使えるのでしょうか?
次の要件を満たしていれば、空き家であっても小規模宅地の特例が使える可能性があります。
①親が相続の開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと
②親が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等に入居又は入所していたこと
ただし、老人ホーム入所後に空き家を人に貸したり、新たに親族を居住させたりした場合には、小規模宅地の特例を適用することができなくなるので注意が必要です。
※注 実際はもっと細かい適用要件があります。
小規模宅地の特例の詳細については本ページ最下部のリンク(国税庁ホームページ)をご参照ください。
ポイント
・小規模宅地の特例を使えると、自宅の土地相続税評価額が80%割引になる
・同居している配偶者または子が自宅を相続する場合は小規模宅地の特例が使える
・同居していなくても、「家なき子」である子供が自宅を相続する場合は小規模宅地の特例が使える
・誰が自宅を相続するかによって、相続税の計算方法が大きく変わる
・親が老人ホームに入所していて、相続発生したときに空き家となっていた場合でも要件を満たせば小規模宅地の特例が使える