コラム
相続税シミュレーションを自分でやる方法 〜世田谷区の不動産を持つ家庭が知っておきたいポイント〜
- 2025.09.04
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不動産相続コラム
世田谷区は東京都内でも有数の住宅地であり、地価も高いため「自宅を持っているだけで相続税がかかる」という家庭が多く存在します。
実際に「親の自宅を相続するだけで数千万円の評価額になり、相続税が発生した」という相談は珍しくありません。
しかし、相続税額は一律ではなく、遺産総額・基礎控除・法定相続人の数によって変わります。
さらに、世田谷区特有の不動産評価(路線価・借地権割合・小規模宅地の特例)を加味すると、税額は大きく変動します。
そこで役立つのが「相続税シミュレーション」です。
今回は、世田谷区に不動産を持つ方に向けて、相続税を自分でシミュレーションする流れと注意点を5部構成で解説します。
第1部:相続税シミュレーションの基本ステップ
自分でシミュレーションを行う場合、以下の手順を踏みます。
1.相続財産の洗い出し
世田谷区にある土地・建物を中心に、現金・預金・有価証券・保険・その他資産を一覧化します。
2.相続財産の評価額を算定
不動産は路線価や倍率方式で評価。世田谷区のように路線価が細かく設定されている地域では、1㎡単位の評価が必要です。
3.基礎控除を計算
「3000万円+600万円×法定相続人の数」が控除額です。
4.課税遺産総額を算定
相続財産総額から基礎控除を引いた額を計算します。
5.相続税の総額を計算
法定相続分ごとに按分して税率を適用し、全体の相続税を出します。
6.各人の相続税額を調整
実際の遺産分割に基づき、相続税額を計算し直します。
第2部:世田谷区の不動産評価をシミュレーションに反映させる
世田谷区の相続税計算で重要なのが「不動産評価」です。
・路線価方式
世田谷区の主要道路には路線価が設定されており、国税庁の路線価図で確認可能。例えば「世田谷区成城の主要道路」は1㎡あたり数十万円の評価になることも。
・小規模宅地等の特例
居住用宅地は330㎡まで80%減額可能。世田谷区では自宅用地の評価額を大幅に減らせるため、必ず適用可否を確認しましょう。
・借地権・底地の評価
世田谷区は借地が多く、借地権割合や底地権割合を正しく反映する必要があります。
・古家付き土地の評価
建物が老朽化している場合、建物評価は低くなり、土地の評価中心になります。
第3部:金融資産・保険を含めたシミュレーション
不動産以外にも相続税額を左右する資産があります。
・預貯金
世田谷区内の金融機関だけでなく、過去の口座も含め確認が必要。
・株式・投資信託
相続開始日の終値で評価されるため、株価変動に注意。
・生命保険
「500万円×法定相続人の数」まで非課税枠があります。世田谷区の家庭でも、納税資金対策として生命保険を活用する事例は多いです。
・債務控除
住宅ローンや医療費未払い分も相続財産から差し引けます。
第4部:自分でやる場合の限界と注意点
シミュレーションを自分で行うことは可能ですが、以下の限界があります。
・不動産評価の難しさ
世田谷区の複雑な地形や接道条件を正確に反映するのは難しく、専門家の知識が必要です。
・特例の適用可否
小規模宅地の特例などは要件が細かく、判断を誤ると税務署に否認されるリスクがあります。
・二次相続を見据えた計算
一次相続で配偶者に集中させすぎると、二次相続で税負担が重くなることも。
・最新制度への対応
税制改正が頻繁に行われるため、数年前の計算方法では間違える可能性があります。
第5部:相続税シミュレーションのチェックリスト
・ 世田谷区の不動産の路線価を確認したか
・ 固定資産税評価額と路線価評価を照合したか
・ 預貯金・証券・保険をリスト化したか
・ 借金や債務を把握したか
・ 基礎控除額を計算したか
・ 小規模宅地の特例が適用できるか確認したか
・ 一次相続と二次相続の両方を試算したか
・ 専門家(税理士)に確認して精度を高めたか
世田谷区の相続税は「シミュレーション」が成功のカギ
世田谷区の相続税は、不動産の評価が中心となるため、シミュレーションの有無で結果が大きく変わります。
・路線価を使って不動産評価を出す
・小規模宅地の特例を必ず確認する
・金融資産・保険を含めて計算する
・二次相続まで視野に入れる
最初は自分でシミュレーションをして全体像を把握し、最終的には世田谷区に強い税理士に確認して精度を高めることが理想です。
「どれくらいの相続税がかかるのか」を事前に理解しておくことが、安心した老後と家族の円満相続につながります。