駒沢の「資産1.2億円・実家と預金」。新ルールでどう変わった?『相続時精算課税の新控除&住宅資金贈与特例』で相続税を劇的圧縮した王道の生前贈与ガイド
- 2026.08.23
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不動産相続コラム
今回の主人公は、都内の広告会社に勤務する長男のAさん(30代後半)。世田谷区駒沢の住宅街にある実家(敷地45坪、築32年・評価額9,000万円)に暮らす70代の父親から、将来の相続について相談を受けました。
父親の保有資産は、実家不動産(9,000万円)と銀行預金(3,000万円)を合わせて約1億2,000万円。
法定相続人は、母親(他界済み)を除く「長男Aさん」と「妹」の2人です。
基礎控除額(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)を大きく超えているため、何もしなければ将来、兄弟合わせて約1,500万円の相続税が発生する見込みでした。
父親は「毎年110万円の非課税枠を使って、お前たち2人に10年かけてコツコツ預金を贈与(暦年贈与)していけば、相続税を大幅に減らせるだろう」と話していました。
ところが、税理士へ事前相談に訪れた際、思いがけない法改正の現実を突きつけられたのです。
「お父様、そのやり方には大きな落とし穴があります。
税制改正により、亡くなる前の生前贈与を相続財産に足し戻す『持ち戻し期間』が、従来の3年から**『最長7年間』へと大幅に延長**されました。
高齢になってから暦年贈与を始めても、亡くなる前7年分の贈与はすべて無効化され、相続税が課税されてしまいます」
「これまでの節税法が使えないなら、どうやって実家と預金を守ればいいのか……?」
Aさん親子は、法改正後の新ルールに対応した最新の生前贈与戦略を組み立てることになったのです。
生前贈与のルールはどう変わった?「2つの大改正」の基本
2024年1月1日以降の贈与から適用されている税制改正において、押さえるべきポイントは主に2点です。
1-1. 暦年贈与(一般贈与)の持ち戻し期間が「3年」から「7年」へ延長
従来のルールでは、亡くなる前3年以内の贈与分だけが相続税の対象に加算(持ち戻し)されていました。
しかし新ルールでは、段階的に期間が延長され、「亡くなる前7年以内」の贈与財産がすべて相続税の計算対象に引き戻されることになりました(※延長された4年間に受けた贈与のうち、合計100万円までは加算対象外)。これにより、高齢になってからの駆け込み暦年贈与の効果が大幅に薄れることになりました。
1-2. 「相続時精算課税制度」に毎年110万円の基礎控除が新設!
一方で、大幅に使い勝手が向上したのが「相続時精算課税制度」です。
従来は一度選択すると累計2,500万円まで非課税で贈与できるものの、将来の相続時に全額が相続財産に加算されていました。
しかし新制度では、2,500万円の特別控除とは別に、「毎年110万円の基礎控除枠」が新設されました。この110万円枠を使った贈与分は、将来亡くなった時にも相続財産へ一切持ち戻されず、完全に非課税となります!
王道の解決策:2つの特例を組み合わせる『ハイブリッド生前贈与スキーム』
資産1億2,000万円のAさん一家に対し、専門チームが提案したのが「住宅取得等資金贈与の非課税特例」と「新・相続時精算課税」を組み合わせた王道の対策です。
2-1. 【特例1】:住宅取得等資金贈与の非課税特例で「1,000万円」を一括移転
ちょうど長男Aさんが世田谷区内でマイホームを購入するタイミングであったため、国の支援特例である「住宅取得等資金贈与の非課税特例(質の高い住宅の場合、最大1,000万円まで非課税)」を活用しました。
贈与税が1円もかからないだけでなく、この特例で贈与した1,000万円は将来の相続税の持ち戻し対象にも一切含まれません。これにより、父親の預金を一瞬で1,000万円圧縮することに成功しました。
2-2. 【特例2】:相続時精算課税の「新・110万円枠」を使った定期移転
長男Aさんと妹の2人は、税務署へ届出書を提出して「相続時精算課税」を選択。
父親から毎年110万円ずつ(2人で年220万円)の贈与をスタートさせました。
新制度の110万円枠は、仮に父親が数年後に亡くなったとしても「過去の持ち戻し加算が法的にゼロ」であるため、確実に相続財産を減らし続けることができます。
実録!駒沢の実家と預金を「新ルール」で最適化した裏帳簿
専門チームのサポートのもと、Aさん親子は以下のステップで手続きを進めました。
1.相続税シミュレーションと方針決定:資産総額と将来の税額を正確に試算。
2.住宅資金贈与の実行と申告:長男Aさんの住宅購入に合わせ、父親から1,000万円を送金。翌年の確定申告で特例を適用。
3.相続時精算課税の選択届出:長男と妹がそれぞれ税務署へ選択届出書を提出。
4.定期的な贈与契約書の作成:毎年、贈与契約書を作成し銀行振込で110万円ずつ移転。
Aさんご一家がこの生前贈与スキームを安全に実行するためにかかった、諸経費の内訳(裏帳簿)がこちらです。
相続税・生前贈与シミュレーション作成費:10万円
・税理士による試算および最適スキームの設計。
住宅取得資金贈与の特例申告書作成費:15万円
・税務署への非課税特例適用申告(長男分)。
相続時精算課税選択届出書・贈与契約書作成:10万円
・兄弟2人分の届出書作成および法的に不備のない契約書整備。
合計諸経費:35万円
・わずか35万円の手続き費用で、将来の税負担を数百万円単位で圧縮!
収支シミュレーション:将来の相続税圧縮効果の算定
父親の当初資産は1億2,000万円(不動産9,000万円、預金3,000万円)。
生前対策を実施し、7年間で資産を移転した場合の最終的な相続税削減効果をブレイクダウンします。
1. 生前贈与による財産の圧縮額
・住宅資金贈与の特例:1,000万円移転(持ち戻しなし・非課税)
・新・相続時精算課税(110万円×2人×7年間):1,540万円移転(持ち戻しなし・非課税)
・生前に安全に移転できた現金の総額:2,540万円
父親の手元に残る遺産総額は、1億2,000万円から2,540万円が差し引かれ、「9,460万円」まで減少しました。
2. 相続税の削減効果(小規模宅地等の特例併用時)
将来、実家の土地(9,000万円)に「小規模宅地等の特例(80%減額)」を適用させた場合の比較です。
・対策をしなかった場合の相続税総額:約750万円
・今回のハイブリッド対策を実行した場合の相続税総額:約240万円
・削減できた相続税額:約510万円の節税成功!
長男Aさんは自宅購入時に1,000万円の資金援助を無税で受け取ることができ、妹もまとまった現金を確保。さらに将来発生する相続税も500万円以上圧縮するという、家族全員にとって最も合理的で安心な資産承継が完成しました。
法改正後の「生前贈与」を成功させる3大鉄則
もしあなたのご家庭で、生前贈与を活用した相続対策を検討するなら、この3つの鉄則を守ってください。
5-1. Step1:高齢になってからの「安易な暦年贈与」は避ける
親が75歳や80歳を超えてから年間110万円の暦年贈与を始めても、死亡前7年間の持ち戻しルールにより、節税効果が無効化されるリスクが極めて高くなります。高齢からの贈与は「新・相続時精算課税」の活用を優先して検討してください。
5-2. Step2:相続時精算課税は「一度選ぶと暦年贈与に戻せない」点に注意する
相続時精算課税制度を選択すると、その親からの贈与については二度と従来の暦年課税に戻すことができません。将来の資産構成や贈与計画をしっかりとシミュレーションした上で選択することが重要です。
5-3. Step3:住宅資金などの「目的別非課税特例」を真っ先に使い切る
住宅取得等資金贈与や、教育資金・結婚子育て資金の一括贈与特例など、国が認めている期間限定の非課税枠は、持ち戻し加算の対象外となる強力な制度です。使える特例がないかを税理士と一緒に真っ先に確認してください。
生前贈与は、古い常識で進めるな。新制度を味方につけて「確実な資産承継」を果たせ
三軒茶屋・駒沢の住宅街にある実家と預金は、法改正を知らないまま従来のやり方で贈与を続けていれば、7年間の持ち戻しルールに捕まり、期待していた節税効果を得られない事態になっていたはずでした。
しかし、2024年以降の新ルール(新・相続時精算課税の110万円枠と目的別非課税特例の組み合わせ)を正しく理解して活用するだけで、税務署に否認されるリスクを100%排除し、安全かつ確実に大きな節税効果を生み出すことができます。
税制改正を恐れる必要はまったくありません。
「古い常識を捨て、新制度の110万円枠と特例でスマートに資産を遺せ」
この正しい税務知識と段取りさえあれば、大切な家族の資産を1円も無駄にすることなく、次の世代へ笑顔で引き継ぐことができるのです。