不動産を複数人の名義で持つことを「共有名義」といいます。
たとえば親から土地や家を相続したときに、兄弟2人で50％ずつの持分で登記するようなケースです。

【共有名義になる主な場面】

・親の不動産を兄弟姉妹で相続したとき

・配偶者と共有でマイホームを購入したとき

・夫婦でローンを組んで不動産を取得したとき

世田谷区では、親が亡くなったあとに実家の名義を子ども2人で共有にするというパターンが多く見られます。
一見平等で良い方法に思えるかもしれませんが、それがトラブルの始まりになることも多いのです。

① 売却・賃貸が「全員の同意」がないとできない

世田谷区の成城にある実家を、兄弟3人で共有名義にしていたAさん。
将来的に売却を希望していたが、1人の兄弟が「売りたくない」と主張。
→ 数年にわたって不動産が“動かせない状態”に。

② 建替え・リフォームも共有者全員の同意が必要

下北沢にある築60年の木造住宅。
安全面を考えて建て替えを計画したが、他の共有者が県外に住んでおり意思確認が取れない。
→ 耐震対策もできずに固定資産税だけがかさむ事態に。

③ 固定資産税・修繕費の負担が不公平になる

用賀にある土地を相続し、共有者Aが税金をすべて立て替えていたが、
他の兄弟が「払えない」と言い出して、金銭的負担が一方に偏るように。
→ 結果的に家族関係が悪化。

④ 相続を繰り返すと「所有者不明土地」に近づく

共有名義のまま世代をまたぐと、持分がさらに細分化されていきます。
→ 世田谷区では「共有者が10人以上」「連絡不能な共有者がいる」というケースも発生。
→ 不動産の価値が下がり、売却もできず“負動産”化。

⑤ 持分だけ売却されるリスク

共有者が自身の持分を第三者に売却してしまい、知らない人が共有者になることも。
→ 世田谷区では、知らない業者とトラブルになった事例も存在します。

「公平＝平等分け」という誤解
「子どもに平等に与えることが“公平”だ」と考える親御さんが多く、
結果として、「共有名義にすれば皆が納得する」と思ってしまうのです。

しかし、不動産は現金と違って分割が難しい資産です。
世田谷区の土地で100㎡を兄弟で50㎡ずつ分ける、というのは現実的ではありません。

「とりあえず共有」という先延ばし判断
相続が発生したときに、「今は揉めたくないから」とりあえず共有にする、というパターンもよく見られます。
→ しかしそれは、問題を未来に先送りしているだけなのです。

① 遺言書で「単独名義」にしておく
→ 親があらかじめ「不動産は長男に」「預金は次男に」など、バランスよく分けておくことが重要。
→ 世田谷区の公証役場（三軒茶屋・経堂）で公正証書遺言を作成することで確実に実行可能。

② 換価分割を検討する（売って現金で分ける）
→ 土地を売却して、その代金を分配する方法。
→ 世田谷区の不動産なら、換価価値が高く現実的な選択肢になりやすい。

③ 生前贈与・家族信託を使って単独化しておく
→ 生前に子ども1人にまとめて贈与しておくことで、後々の共有を防止。
→ 家族信託を活用すれば、財産の管理権限を1人に集約しつつ、利益は複数人に分配できる。

① まずは登記簿を確認しよう

→ 世田谷区内の法務局（世田谷出張所）で、登記事項証明書を取得
→ 所有者・持分比率を確認する

② 相続人や関係者と話し合いの場を持つ

→ 「共有のままにしない」という方針を共有
→ 将来の利用方法や処分方法について合意を形成

③ 専門家に相談する

→ 世田谷区には、不動産相続に強い司法書士・税理士・宅建士が多数
→ 無料相談会や地域包括支援センターでも初期相談可能