コラム
親名義のままの土地…今やるべき3つのこと ~世田谷区で「動かせない不動産」を未来に残さないために~
- 2025.05.23
- カテゴリ:
不動産相続コラム
世田谷区で相続や不動産に関するご相談を受けていると、
「親の名義のままになっている土地があるけど、今は特に使ってないし…」
「名義変更って面倒そうで、まだ手をつけていない」
という方が非常に多いです。
特に世田谷区は、代々受け継いだ土地・実家のあるご家庭が多く、
「親名義のまま」という状態が何年も続いてしまうケースが珍しくありません。
しかし、親の名義のまま放置しておくことで、
売却・活用・相続すべてに大きなリスクが生まれます。
この記事では、世田谷区にある不動産を「親名義のままにしている方」が、
今やるべき3つのことを中心に、
放置によるリスクと、具体的な解決方法を5つの視点から詳しく解説します。
【第1部】なぜ「親名義のまま」ではいけないのか?
◆よくある放置理由
「固定資産税は自分が払ってるから問題ない」
「親が亡くなってから時間が経ってしまった…」
「名義変更はお金がかかりそうだから後回しに」
「兄弟間で話がまとまっていない」
一見、何も起きていないように見えても、
実は「親名義のまま」にしていることには、重大なリスクが隠れています。
【リスク1】売却・活用ができない
親名義のままでは、不動産の売買契約や建て替えなどの権利行使が一切できません。
世田谷区のように地価が高く、土地の活用価値が高いエリアでは、
「動かせない土地」は大きな機会損失になります。
【リスク2】相続人が増える(代襲相続)
親が亡くなったあと名義変更をしないまま時間が経つと、
相続人が「子」→「孫」→「曾孫」…と広がっていきます。
→ 遺産分割協議が複雑化し、誰も動かせない土地に。
【リスク3】2024年から「相続登記義務化」
放置を防ぐため、**相続登記が義務化(2024年4月開始)**されました。
名義変更を3年以内に行わないと、10万円以下の過料が科されることがあります。
【第2部】世田谷区でよくある「名義放置」ケースとその行方
◆ケース1:三軒茶屋の実家が親名義のまま10年放置
→ 子ども3人で協議が進まず、名義変更できないまま月日が経過
→ 土地価格は8,000万円相当なのに、売却も賃貸もできない
→ 結果、老朽化・固定資産税・庭の手入れなど、“動かせない資産”が負担に
◆ケース2:用賀で母親が亡くなり、名義変更せずに弟と揉める
→ 「長男が相続する予定だった」つもりが、遺言書がなかったため揉め事に
→ 結局、法定相続人7人での協議になり、不動産の管理放置
→ 隣地との境界問題まで発生し、解決に2年以上かかった
このように、「親名義のまま」は一時的な猶予ではなく、“将来の争いの火種”になる可能性が高いのです。
【第3部】今すぐやるべきこと①「法的な所有関係の確認」
まず最初にやるべきことは、
「その土地の名義が本当に誰なのか?」を公的に確認することです。
◆方法1:登記事項証明書を取得する
→ 世田谷区内の不動産であれば、**法務局(世田谷出張所)**で取得可能(1通600円程度)
→ インターネット登記情報提供サービスでも確認可能
登記簿には以下の情報が記載されています。
・所有者の氏名と取得日
・不動産の地番・地目・面積
・抵当権などの権利関係
【注意】登記簿が古いまま更新されていないケースも多いため、確認は必須です。
◆方法2:相続人を調べる
→ 戸籍謄本(出生~死亡まで)をすべて取り寄せる
→ 相続関係説明図を作成(家系図のようなもの)
これらの作業は、司法書士に依頼することも可能です。
【第4部】やるべきこと②「名義変更(相続登記)を進める」
所有関係が確認できたら、次は法務局での名義変更手続き=相続登記を行いましょう。
◆相続登記に必要な書類(主なもの)
・被相続人(親)の戸籍(出生〜死亡まで)
・相続人全員の戸籍・住民票・印鑑証明書
・固定資産評価証明書(世田谷区役所で取得可)
・遺産分割協議書(相続人全員の署名捺印が必要)
◆登録免許税(費用の目安)
→ 不動産評価額の0.4%
(例:土地の評価が5,000万円なら、税額は20万円)
【専門家の活用をおすすめ】
世田谷区内では相続登記に強い司法書士が多数存在します。
「相続人が多い」「戸籍が複雑」「遠方に兄弟がいる」など、
少しでも不安があればプロに依頼しましょう。
【第5部】やるべきこと③「土地の活用・将来の方向性を家族で話す」
名義変更が済んだら、いよいよその土地を**「どう活かすか」**の話に進めます。
◆選択肢① 売却する
→ 世田谷区は土地の価値が高いため、高額売却も期待できます。
→ 売却益に譲渡所得税がかかる可能性があるので、税理士と連携を。
◆選択肢② 賃貸に出す・アパート経営
→ 三軒茶屋・経堂・用賀など、若者・単身者ニーズが高い地域では賃貸向き。
→ 初期投資・管理体制などの検討が必要。
◆選択肢③ 家族の誰かが住む・二世帯住宅に建て替える
→ 子世帯が戻る場合や、住みながら相続税対策(小規模宅地の特例)も考慮可。
いずれの選択を取るにしても、「親名義のまま」ではスタート地点にすら立てません。
まずは所有権を“生きた状態”に戻すことが先決です。
今やるべき3つのこと
親名義のまま土地を放置していると、
・動かせない不動産
・負担だけが残る固定資産税
・将来の相続人トラブル
・法改正による罰則リスク
…といった問題が必ず現実化してきます。
だからこそ、今やるべき3つのこと
・ 所有者を確認し、相続人を整理する
・ 登記を行い、名義を自分たちに移す
・ 将来の土地活用について家族と話す
を早めに進めることが、
世田谷区で大切な不動産を“守る”ための最も現実的な第一歩です。